鴻池朋子

July 03, 2011

『ジパング展 −31人の気鋭作家が切り拓く、現代日本のアートシーン。』:現代日本アート→ 百貨店活性化→ 地方にも伝搬

IMG_0002-sdes『ジパング展 −31人の気鋭作家が切り拓く、現代日本のアートシーン。』

2011年6月1〜20日(月)
日本橋高島屋
中央区日本橋2-4-1
03-3211-4111





同展は、イムラアートギャラリーの井村優三さんが企画。ミヅマアートギャラリーの三潴末雄さんがキュレーションを担当。日本の現代アートを、冒険家マルコ・ポーロが日本を黄金郷であると伝えたエピソードをもとに名付けられている。

もともとの発想は、プライマリー市場が活性化してない日本の現代アートギャラリーは、海外市場を中心に活動してしまう。

一方で高橋コレクション「neoteny japan/ネオテニージャパン」が2009年春に上野で公開されるや大人気となった。コレクターは少なくとも、美術館やへの集客はある国である。

そこへこの不況で百貨店の催事もパッとしない。百貨店の催事は、戦後 小谷正一さんが、阪急・東宝グループの総帥 小林一三にアイデアをだして実現した画期的な仕組みなのである。当時路面より低くみられていたデパートの格をあげるのに、階上にある美術催事と総合レストランは大いに役立ったのだ。

時代を経て、古美術や:ポピュリズムな催事だけでは集客しなくなった。そこへ、今回のような現代美術をもってくることで、百貨店の活性化に繋がるだけではなく、地方にも現代アーをトはじめて紹介することができる。これこそが、長期的には現代コレクターを醸成する良い方法ではないかと思う。素晴らしい企画!

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出品作家:
会田誠/青山悟/池田学/石原七生/上田順平/O JUN/岡本瑛里/風間サチコ/樫木知子/熊澤未来子/鴻池朋子/近藤聡乃/指江昌克/染谷聡/棚田康司/束芋/天明屋尚/南条嘉毅/藤田桃子/町田久美/三瀬夏之介/宮永愛子/森淳一/山口藍/山口晃/山崎史生/山本太郎/山本竜基/吉田朗/龍門藍/渡邊佳織



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June 12, 2011

「焚書 World of Wonder」 (絵と文 鴻池 朋子):地球を作るための設計図。

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著者:鴻池 朋子
羽鳥書店(2011-04-28)










「眠りから目覚めた者は そこにある肉体の重さを知る

宇宙に引っぱられていることから 逃れられない


おのれの姿を見ずに映し まなざす

もう 時のカウントから 逃れられない



想像力 速度を増して進んでいる」


鴻池朋子さんの絵本が届く。絵本から世界ができたのではないか?と錯覚させるような世界が展開する。それが錯覚でないとしたら、世界を逆引きしたら、こういう設計図を描いた神さまがいることになる。そういう遠大な時間と空間の中で自分が存在する"感触"...。

そういう"感触"は、懐かしくもあり、また孤高な感じでもあるのだ。


下記は、2009年10月に鹿児島県霧島アートの森で開催された「インタートラベラー 2匹の詩人」のメーキングブック。この森の迷宮も、どこかその設計図の一部であるようだ。


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May 29, 2011

絵本『Giant』 (著者 Juliet & Charles Snape):絵本は大人になっても自然の脅威や優しさを教えてくれる最高の教科書!

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著者:Juliet Snape
Julia MacRae(1989-02-23)









この本の物語以上に、この本の入手には物語がある。

この絵本との最初の出会いは、鴻池朋子さんの個展『インタートラベラー 神話と遊ぶ人』(2009.7-9)の出口だった。すべての壮大な展示を見終えたところに本棚があり、そこに鴻池さんの好きな絵本が陳列されていた。何冊かは入手できたが、この絵本だけは入手できなかった。

そして、前述の「隠れマウンテン&ヴォルカノイズVol.2 【The Lodge】」での手引書が、この絵本だったのだ!なんでも、たった3人のこのイベントの日に偶然ギャラリストがご本人から「これを参考に使えないか」との提案があったというのだ。この再会でさらに、"縁"を感じた私は八方手を尽くしてようやく手に入れることができた。2年近くかかったことになる。

ここでは、この内容は詳しくはいわないが、絵本は大人になっても自然の脅威や優しさを教えてくれる最高の教科書であることは間違いない。


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隠れマウンテン&ヴォルカノイズVol.2 【The Lodge】 - 切立った崖に建つ家 - 鴻池朋子さんの謎に迫る探検

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ザ・ロッジ 切立った崖に建つ家

The Hidden Mountain & VOLCANOISE Vol.2
The Lodge — A place on the sheer cliff


2011年3月10日(木) — 5月15日(日)

本当に、不思議な場所にひっそりと作られたギャラリーである。このプロジェクトは毎回1〜5 名程の予約を受け付け、知らない者同士が実際にアート作品を手に取り語り合いながら、観客自身の独自な眼で作品を見抜いてゆく場をつくることを目的に行われている。

私が最初に予約したのが震災直後の日程であったため、結局は連休明けの参加となってしまった。

今回のデーマは、アーティスト鴻池朋子さんの未公開ドローイング、私物の玩具など。アート好きの友人と編集者「焚書 World of Wonder」(著者:鴻池 朋子、羽鳥書店 -2011-04-28)の方の3名で、畳の間で「ああでもない、こうでもない」というアート談義を2時間超してきた。

ギャラリーのホスト役の方が鴻池さんと昵懇ということもあり、深い話から広い話まで実に楽しいひと時だった。大人でも放課後に冒険に行ける、という面白さだった。



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March 27, 2011

鴻池朋子展「隠れマウンテン 逆登り」:観る者が物語を紡ぎ、そして語り続ける作品たち。

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鴻池朋子展「隠れマウンテン 逆登り」 
 
2011年3月9日(水)〜4月9日(土)
ミヅマアートギャラリー(市ヶ谷)
新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
03-3268-2500





大震災の数日前、鴻池朋子さんの個展があるというので、オープニングパーティに行ってきた。

鴻池さんの作品は、絵本の「みみお」を読んだ時から大好きだった。そして、決定的だったのが2009年8月に新宿初台のオペラシティでの展示会『インタートラベラー 神話と遊ぶ人』を観たことだった。これは単に"観た"なとという生やしいことではなく、"体験した"というに相応しい展示会だった。

比較するのはおかしいが、鴻池さんの「2001年宇宙の旅」だと思った。転生輪廻をほんの一瞬で提示してしまう衝撃を味わったものだ。

呆然と展示を見たあと、廊下に本棚があり、そこに何十冊かの絵本が置いてあった。特にバージニア・リー・バートンの「せいめいのれきし―地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし」やクリス ヴァン・オールズバーグ「ベンの見た夢」が印象に残った。鴻池さんの世界は、1作品毎に完結しているように見えるが、実はそれぞれに物語の一部を担おうとしているように感じた。

そして、今回はじめてご本にお会いした。いくつかの絵本からインスパイヤされることもあるという。

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今回の目玉作品「隠れマウンテン 逆登り」は、8枚両面に描かれた二段の襖絵である。実に圧巻!

更に、謎解きの物語は続く。自身が立ち上げた予約制のギャラリー『VOLCANOISE』(ヴォルカノイズ)で「ザ・ロッジ 切立った崖に建つ家」という企画が連携している。2011年3月10日(木)〜5月15日(日)
「〜 これは、『隠れマウンテン』未公開ドローイング 私物の玩具たちのみ
そして これらを紡ぎあげるのは私たち「見る人」だけ

The Lodge に辿りついた観客が 作者不在のなか 自らの想像力だけをたよりに語り合いまだ見ぬ『隠れマウンテン』頂上へと登ってゆくプロジェクトダイアログはここから始まる 〜」

本プロジェクトでは毎回1〜5 名程の予約を受け付け、知らない者同士が実際に作品を手に取り語り合いながら、観客自身の独自な眼で作品を見抜いてゆく場ということらしい。予約を入れたが、震災で難しかったので落ち着いたら来月にでもいこうと思う。

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June 13, 2010

Warriors of Japanese Art (山口裕美):戦うアーティストを元気づけるリーダー

IMG_0003-oiujhウォリアーズ・オブ・ジャパニーズ・アート - Warriors of Art
著者:山口 裕美
販売元:講談社インターナショナル
発売日:2007-02-01








先日、アート界のチアリーダーこと山口裕美さんにお会いした。その後に、この本を頂いた。実は既に持っていたが、改めて山口さんが世界に紹介する日本のコンテンポラリーアーテスト40人の人選が面白い。すべのアーティストを知っているわけではないが、知らないアーティストを知ってるアーティストと一緒に紹介されると、知りたくなるものだ。表紙は天明屋尚さん。

初版が、2007年2月なので、リーマンショック(2008.9)の1年半前に発売されたことになる。日本はさらなるアート不況のただなかにあるが、ここに掲載されているほとんどのアーティストが元気に今も活動しているのは嬉しい限りである。

会田誠 / 川島秀明 / 鴻池朋子 / 町田久美 / 束芋 / 天明屋尚 / 山口晃 /  奈良美智 / 児嶋サコ / 元田久治  /トーストガール / コバヤシ麻衣子 / やなぎみわ / ヤノベケンジ / 濱口健 / 加藤泉 / 加藤ミカ / 明和電機 / 三宅信太郎 / 水野純子 / 森村泰昌 / Mr. / 村上隆 / 西尾康之 / 小谷元彦 / 澤田知子 / 天明屋尚 / 椿昇 / 山口藍 /



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September 20, 2009

死者が旅する生の体験

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死者と遊ぶ人

鴻池朋子 (発行 : 羽鳥書店)

 

 

 

近年ベストの展示会のカタログがようやく到着した。ワタシは、この壮大な個展を" 鴻池朋子さんの火の鳥 "と絶賛し、出来るだけアートファンじゃない人にも宣伝した夏だった。本展については、すべて批評の言葉を必要としない。それくらい素晴らしいものだった。

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August 02, 2009

おとなの夏休みは、地球の命を体感すること

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鴻池朋子展『インタートラベラー 神話と遊ぶ人』

2009年07月18日〜2009年09月27日
東京オペラシティアートギャラリー
新宿区西新宿 3-20-2

この夏最大の楽しみだった鴻池朋子さんの展示に初日に行ってきた。あれから2週間以上経つのに、まだ感動がさめない。もしアートは画集をみていれば充分という人がいれば、この展示がその考えを覆すだろう。最初にビートルズやマドンナが来日してライブに行くようなものだ。本展示は、人生一回限りの体験が待っている。

鴻池朋子さんは、東京藝大 日本画科卒業の後、フリーランスでおもちゃの企画(マテル社、バンダイ、ヤマハ等)やレイジースーザンでファニチャーのデザイナーをしていた。1988年にデザインオブザイヤー賞銀賞受賞し、その輝かしいキャリアが注目されるようになった。

そのユニークなキャリアからか、物語を語る力、その構成力、ひとつひとつの造形の面白さ、どのエレメントも今回の展示に生きている。観客は、「火の鳥」のごとく、地球の歴史を体感することになる。地底からはじまって天上に導かれる強烈なクリエイティブの力によってぐいぐいと引っ張られる。

鴻池さんの展示を言葉で表現することはできないが、最後のチャプターで彼女の好きな本棚があり、いくつか気になる絵本をチェックしてきた。何か創作の秘密の一端が垣間見れるかもしれない...。

Giant
著者:Juliet Snape
販売元:Julia Macrae
発売日:1989-02-23

せいめいのれきし―地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし 著者:バージニア・リー・バートン
販売元:岩波書店
発売日:1964-12

ミツバチのなぞ (フリズル先生のマジック・スクールバス)
著者:ジョアンナ・コール
販売元:岩波書店
発売日:1999-10

おなかのすくさんぽ(こどものとも絵本)
著者:片山 健
販売元:福音館書店
発売日:1992-04-10

ベンの見た夢
著者:クリス ヴァン・オールズバーグ
販売元:河出書房新社
発売日:1996-04

夜、空をとぶ (詩人が贈る絵本)
著者:ランダル ジャレル
販売元:みすず書房
発売日:2000-11



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June 21, 2009

幼少期の無邪気さに潜むアート心

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neoteny japan/ネオテニージャパン高橋コレクション

2009年5月20日(水)〜7月15日(水)会期中無休
午前10時〜午後6時
上野の森美術館
台東区上野公園1-2

 

 

 

最近では、一番充実した展示だった。精神科医である高橋龍太郎先生のこの10年間のコレクション。本展示をみれば、2000年代の日本の現代美術のすべてがわかるといっても過言ではない。
高橋コレクションは、若手作家の作品を1,000点以上コレクションしている。その中から33人の作家の絵画、立体、映像、インスタレーションなどを80作品を選び紹介している。

それにしても、高橋コレクションの目利きのユニークさもさることながら、このコレクションをアート業界が展示できなかったことに日本の現代アートの問題点も内包されていると思う。

それにしても、溜息がでるような出品作家ラインナップ。

会田誠、青山悟、秋山さやか、池田学、池田光弘、伊藤存、小川信治、小沢剛、小谷元彦、加藤泉、加藤美佳、工藤麻紀子、鴻池朋子、小林孝亘、佐伯洋江、さわひらき、須田悦弘、高嶺格、束芋、千葉正也、照屋勇賢、天明屋尚、できやよい、奈良美智、名和晃平、西尾康之、町田久美、Mr.、三宅信太郎、村上隆、村瀬恭子、村山留里子、山口晃(50音順)

「大山椒魚」会田誠(2003, acrylic on panel 314 x 420cm )
「惑星はしばらく雪に覆われる」鴻池朋子(2006, mixed media 130x270x85cm)

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「巨大女為正義」西尾康之(2002,terra cotta 16set each 7x5x5cm)
「告知 −森」 照屋勇賢 (2005, シャネル紙袋 8.0x 17.5x 25.5)

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「elsewhere」さらさわき (2003, video mono silent 7'40")
「PixCell-Shoe#4(R)」名和晃平 (2006, mixed media 12 x20 x9)

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「Rompers」小谷元彦 (2003, DVD 2'52" music by pirami)
「ポリリズム赤」村上隆 (1989, acrylic on board 田宮模型1/35 GI 98 x 60.7cm)

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November 24, 2008

風土が生んだファンタジーの世界

KOUNOIKE_TOMOKO-11 鴻池朋子 展 『異界からの客人』

 

 

 

 

 

先ほど、手塚治虫アートコラボでも紹介した鴻池朋子さんの個展が実は先月 金沢21世紀美術館「松涛庵」で開催されていた。行くことができなかったが、せめてチラシのみ紹介。

鴻池朋子さんは、1960年秋田市に生まれ。おもちゃ、家具のデザインを経て巨大絵画の物語シリーズを発表。アニメーション、彫刻、キュレーションなども手がける。エディション作品なら手頃な金額で購入できる。



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手塚治虫の影響から、新しい影響を作り出す

tezuka 手塚治虫アートコレクション―手塚治虫の遺伝子闇の中の光

 

 

 

 

ちょっと前に渋谷パルコで10月で24日から11月10日まで手塚治虫 生誕80周年記念展「tezuka gene Light in the Darkness」が開催されていた。国内外の30組以上のアーティストやデザイナーによる手塚作品のカバーアートの新制作、ビデオインスタレーション、映像作品などが披露されていた。

中でも印象に残ったのは、下記である。手塚作品のインスピレーションによって書かれているものよりも、作者が一度作品世界を自分の中に取り込んで再構成した作品が良い。下記の作品は、アート作品として自立しているし、何よりまた手塚作品が読みたくなる刺激が埋め込まれているかのようだ。

左から、鴻池朋子氏の「リボンの騎士 」、UNNON(アンノン)の「アラバスター」、小谷元彦の「きりひと讃歌

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November 02, 2008

自分の好きなものがアート

powerTHE POWER OF JAPANESE CONTEMPORARY ART

 

 

 

 

著者の山口裕美さんは、「現代アートのチアリーダー」と呼ばれ、トウキョウトラッシュを主宰するアートプロデューサー。

アート好きにとって好みが合う、というのはもう一方的に友だちみたいなものである(失礼!) また、知らないアーティストの作品の情報をシェアしてもらえることも知見が広がり嬉しい。

山口晃氏の精緻な絵巻物、鴻池朋子さんの鉛筆の幻想、濱口健氏の爽やかで濃い緊縛、さわひらき氏の静かな映像美など これからの日本の現代アートを紹介する格好の手引書である。



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