養老孟司

February 06, 2011

日本美術解剖学会2011:バラバラにして考える力、考える筋肉をつける。

223485029日本美術解剖学会2011

2011年1月22日13時~
東京藝術大学








昨年発足した日本美術解剖学会の第二回の総会が開催されたので行ってきた。どういう訳かワタシは学会会員なのである!

会長が養老孟司さんということと美術家の松井冬子さんが主要メンバーということがキッカケだったと思う。昨年の第一回では養老会長が欠席だったが今回は基調講演をするいうので、急遽出張から戻り出席した。

内容は下記の通り...

司会:布施英利 (東京藝術大学准教授)

シンポジウムⅠ「筋肉について~科学の立場から」
坂井建雄 (順天堂大学医学部教授)
遠藤秀紀 (東京大学教授)

シンポジウムⅡ「筋肉について~芸術の立場から」
松井冬子 (画家)
木下史青 (東京国立博物館デザイン室長)


なんといっても、養老孟司さん話が秀逸だった。いろいろ興味深い話はあったが、どの話も仮説をポーンとなげて、あとは誰かが解明してほしい、という潔い短編小説のようなテンポが心地よい。

・ どうして、昆虫の動きはぎこちないか。昆虫は人間でいう骨が外殻という形でむき出しになっている。そして、彼らは生殖して子孫を残せば役割が終わる。だから、簡素な造りなのか?昆虫の動きをスローモーションで撮影すると、カクカクと映る。関節が歯車のようになっているためという。逆に人間は関節がギザギザだと関節炎で痛い。つまり、筋肉と皮膚によって長く生きる設計になっており、関節は丸いのだ。これが進化の過程でどうしてなったのかは、解明してほしい、という話。

・ 松井さんの話を聞いていて"美"とは何か?を考えた。"美"は突発的にわかる感覚ではない。自分の中で、ある経験の積み重ね、秩序、法則性を組み合わせプロファイリングして、ある傾向のものを"美"と呼ぶのではないか。

・ 木の葉を美しいと思う。あの葉っぱの配列は偶然ではないと思う。光合成が目的の植物に、太陽をもっとも効率的に捕捉するために、あの葉っぱの配列があるのではないか。だから、葉っぱの成長をマーキングして分析すると、その法則や"美"がわかるのではないか。

以上のような、非常に示唆に富んだ仮説を提示して頂き、これらのことだけではなく、"考える力"を与えてくれたと思う。

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January 10, 2010

死んで骸骨になるのではなく、骸骨があって生きている。

IMG_0006-s日本美術解剖学会 (会長 養老孟司 東京大学名誉教授)

2010年1月9日設立記念大会
東京藝術大学 美術学部









美術解剖学研究の第一人者を結集し、日本美術解剖学会という団体が設立された。アカデミックでエンターテイメントというコンセプトを掲げた摩訶不思議な団体は、日本で最高レベルの美術解剖学研鑽の場を目指すという。

で、昨日 の設立記念大会は、東京藝術大学 美術学部 中央棟1階 第一講義室で開催された。講義室は美術関係者はもとより、警察の似顔絵を作成する部署の方まで幅広く参集。

まず、2本の講演があった。「聖なる肉体」(伊藤俊治 東京藝術大学教授)と、 「国宝・阿修羅展・・光の演出による表情の見せ方」(木下史青 東京国立博物館デザイン室長)そして、後半は、シンポジウム「科学の骨、美術の骨」というこしとで、遠藤秀紀(東京大学教授)、小田隆(成安造形大学講師)、坂井建雄(順天堂大学教授)、松井冬子(画家)、司会:布施英利(東京藝術大学准教授) という豪華メンバーで討議された。

死体の研究というのは、生体の研究の延長戦にあり、死んでいくために生きていく、ということの逆を遡ることで、生を考えるというのがテーマだと思った。

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July 22, 2007

物語の語り手は、常に過去にいる

いきものがたり
企画者の山本良一氏によれば、この地球に人類は65億人いて2050年までに90億人になるという。一方で約1,100種類の生物を調べたら30年間で4割の種類が減ったという。ということから地球は人間だけのものじゃない、という発想に繋がりこの本の発刊になったわけだ。

地球6億年の歴史の中で5回の絶滅の危機があった。有名な隕石衝突による恐竜の絶滅はむしろ軽い方で、2.5億年前の3回目の危機が凄かった。巨大マグマが吹き出し9割以上の生物が死滅したという。

いまこうして人類の歴史を振り返れることは、奇跡のような物凄い確立の偶然なのではないだろうか。



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