November 07, 2009
Y字路がうむ想像の世界
東京Y字路
著者:横尾 忠則
販売元:国書刊行会
発売日:2009-10-26
横尾忠則さんの大事なモチーフのひとつである「Y字路」を、23区から都下、島部まで、東京をくまなく探訪し、写真というかたちで追い求めた初の写真集。 本作は、都市出版社発行の「東京人」で約2年間にわったて連載された「東京23区Y字路徘徊」で掲載されたものをはじめ、東京23区のY字路を撮影し撮りためたものである。
西村画廊でも「横尾忠則 東京Y字路 写真展」を開催している。もともとは、横尾忠則さんが、幼少期に通った郷里の模型店の場所が偶然Y字路になっていたのを写真に撮ったのがはじまりで、このY字路をモチーフに、今日まで100点近く描いている。
絵の方はどんどん抽象的になって、風景が溶解していくのに対して、写真は粘り強く、誰もいなくなるまでずっと立ち尽くし写真におさめているのだ。Y字路が示唆するものは、人生の選択そのものの暗喩のようであり、あるいは単純に二つの違った景色を一度に眺められるという贅沢感だけなのかもしれない。