宮島達男

November 07, 2010

宮島達男『Time Train』 : 永久に辿りつかない終着駅を探し続ける死の列車。

higigiyg宮島達男『Time Train』

2010年11月3日(水)– 12月29日(水)
コム・デ・ギャルソン『Six』
大阪市中央区南船場3-12-22 心斎橋フジビル2F
06-6258-3315






本展は、ドイツのレックリングハウゼン美術館で開催された個展『Time Train』(2008)へ出品した作品で、日本国内では初めての展示。LEDの光が浮かび上がらせる数字を積んだ列車は、まるで銀河鉄道のように薄暗いギャラリー空間を縦横無尽に走り回る。

しかし、このモデルとなった列車は、1932年から1945年までの間、第二次世界大戦下において、ナチスドイツが使用したアウシュビッツ行きの列車なのである。始発も終電もない永久運動としてループする展示は、さながら死へ向かいつつある行進であるかのような不気味さを漂わせている。

この列車の音を聞いていると、なぜかポーランドの劇作家タデウシュ・カントールの「死の教室」を思い出した。

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宮島達男「Time Train」(2008) Photo: courtesy by Six



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August 29, 2010

『芸術のグランドデザイン』 著 山口裕美: 「現代アートはよくわからない」「作家が死ぬと価値があがる」「社長室のアート作品はなぜ印象派ばかりか」の解がある

UHFRDE芸術(アート)のグランドデザイン
著者:山口 裕美
販売元:弘文堂
発売日:2006-12-25









少し前に山口裕美さんから頂いた本。

「現代アートはよくわからない」「作家が死ぬと価値があがる」「社長室のアート作品はなぜ印象派ばかりか」など一般の方がアートに対して思っていることを優しく解説。もちろん解説だけにとどまらない。ジャパニーズ・ポップアートとしての漫画、オタク文化までもカバーした論評はユニーク。

日本のビジネスマンにアートを身近に感じて欲しいという思いからアーティスト、キュレーター、コレクター、ギャラリストといったアートを巡る様々な人々に取材をしている。とても軽やかな足取りが心地よい。

以下、印象的な部分の抜粋

宮島達男さん
「アートのように、人のリアルとか、人の五感に訴えてくるものというのは、実は人間の観念でできたイメージをとんでもなく飛び越えている存在」

浜野保樹さん
「商業的成功にはそれだけ時代を動かした何かがあるはず。その中でも残るものと。大ヒットして消えていくものがあるから。それはちゃんと選択しなきゃいけない。戦略的にヒットしたからといって、その人を貶めめことは接゛対しちゃいけない」

高橋龍太郎さん
「自分の国の現代アートをどれだけストックし、パブリシティできるかで、その国の富の質が決まってくると思う。」


■アートと「遊ぶ」
 隈 研吾 (建築家)
 椿 昇  (アーティスト)
 奈良美智 (アーティスト)
 名和晃平 (アーティスト)
 宮島達男 (アーティスト)

■アートな「生きがい」
 重延 浩 (テレビマンユニオン代表取締役会長・CEO)
 浜野保樹 (東京大学大学院教授)
 長谷川祐子(キュレーター)
 福井健策 (弁護士)
 吉本光宏 (ニッセイ基礎研究所)

■アートと「旅する」
 福武總一朗(ベネッセコーポレーション代表取締役会長)
 南嶌 宏 (熊本市現代美術館館長)
 青森・金沢・六本木のアートガイド

■アートと「暮らす」
 大林剛郎 (林組代表取締役会長)
 高橋龍太郎(精神科医)
 広本伸幸 (エムアウト・アートディレクター)



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