会田誠

December 02, 2012

会田誠 展【天才でごめんなさい】“アイデアは日常(ケ)のときに出るものの、制作はあくまで非日常(ハレ)の行為”

POOUH会田誠展:天才でごめんなさい

2012年11月17日〜2013年3月31日(日)

森美術館 (森タワー53F)
港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F
03-5777-8600


《滝の絵》
2007-10年
国立国際美術館蔵、大阪



同じ昭和40年(1965年)生まれの現代アーティスト会田誠さんの初期作品から最新作までを紹介する大規模個展。

1990年初頭の初期代表作『あぜ道』から最新作7点を含む、約100点を紹介。
『巨大フジ隊員VSキングギドラ』や『犬(雪月花)』シリーズなど、“18禁の部屋”も展示。2008年以降続けてきた段ボールワークショップも、観賞者が参加できるワークショップを開催し、ついに完結する予定。

美少女、歴史、戦争、漫画、サラリーマンなど多様なテーマで見応えたっぷりだった。

会田誠さんのアート作品をみて、これはアートなのか?など様々な意見がでること自体 正しい批評のはじまりだろう。私はアートとは何か?というような話に組みしない。結論がないし、アートの楽しみ方というのは普遍的なものでありえない。
アートが誰か人を楽しませるという点において娯楽の一つの形態なのだと考える。だからアートはたった一人の理解者がいれば成立する きわめてミニマルなジャンルのものかもしれない。
複製可能な前提のマスプロダクトではない。だから、議論百出となる。

会田さんのアート作品の楽しみは、同じ時代感覚を共有できるところにある。それは、パロディであり、批評であり、美しさだ。

大量のピンクチラシをコラージュして花の咲いた樹を描いてみせた「鶯谷図」(1990年)などは、アイロニカルな“美” を感じる。携帯普及の前世代で電話ボックスの奇妙な世界観を共有したものが、その卓抜した発想に美しさを感じることができる。

そういう一つ一つの作品を単に美しいとか面白いと触発されるだけでなく、受け手に無数のテキストを誘発するセンスがある。これが会田誠さんの天才の所以なのだと思う。

現代アートに興味がない人でも結構楽しめる展示と思う。

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《切腹女子高生》 2002年 アクリル絵具、ホログラムフィルム、透明フィルムに出力 119x84.7cm 渡井康之氏蔵 Courtesy: Mizuma Art Gallery




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「ジューサーミキサー」(2001年)
キャンバス、アクリル絵具 
290x210.5cm
TAKAHASHI COLLECTION




pic01《紐育空爆之図(戦争画RETURNS)》(にゅうようくくうばくのず) 1996年 六曲一隻屏風/日本経済新聞、ホログラムペーパーにプリントアウトしたCGを白黒コピー、チャコールペン、水彩絵具、アクリル絵具、油性マーカー、修正液、鉛筆、襖、蝶番、その他 169×378 cm 零戦CG制作:松橋睦生 高橋コレクション蔵



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《鶯谷図》1990  渡井康之氏蔵



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November 24, 2012

コラム【日本人養成講座】(著者三島由紀夫)想像力は、現実が空虚な時に現れる幻のようなものである。

ouohiy日本人養成講座
著者:三島由紀夫
平凡社(2012-05-27)











三島由紀夫のコラムは、中高生の時に貪るように読んだ。小説はほとんど読んだことがない。私の三島作品との出会いは、安倍公房である。彼との対談を読んで、なんともふたりの主張が水と油くらいに違うのに、共通の基盤というか知的好奇心を刺激し合う同志のような親密な雰囲気を感じ、読むようになったのだ。

だから、いくつかの小説を読んで自分の好みには合わないのだけれど、コラムや社会批評のようなものは、興味深く読んだものだ。

今回、会田誠さんのブックカバーで新装版がでていたので読んでみた。
以下、記憶に残った個所の抜粋&引用。

・ 西洋では古代や中世以来の石の建築がのこっている。
日本の伝統は、木と紙で出来ていて、火をつければ燃えてしまうし、放置しておけば腐ってしまう。

・西洋ではオリジナルとコピーの間には決定的な差があるが、木造建築の日本では、正確なコピーはオリジンナルと同価値を生じる。

・危急に際して行動に熱中し、生きることのすべての力を注いでいるときには、想像力のほとんどを持つことが出来ない。もし、想像力がノイローゼの原因になるとすれば、空襲にさらされた戦争中の日本だろう。人々の想像力の糧は、すべて戦争という事業に集中していたのである。

・芸道とは何か?それは「死」を以てはじめてなしうることを、生きながら成就する道である、といえよう。これを裏からいうと、芸道とは、不死身の道であり、死なないですむ道であり、死なずにしかも「死」と同じ虚妄の力をふるって、現実を転覆させる道である。

・スポーツにおける勝敗のすべて虚妄であり、オリンピック大会は巨大な虚妄である。それはもっとも花々しい行為と英雄性と意志と決断のフィクション化なのでだ。

・愛という言葉は、日本語ではなく、多分キリスト教からきたものであろう。日本語としては「恋」で十分であり、日本人の情緒的表現の最高のものは「恋」であって「愛」ではない。


以上

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June 13, 2010

「カリコリせんとや生まれけむ」(著:会田 誠):アーティストの日常がカリコリしているから作品が生まれる。

IMG_0002-sasカリコリせんとや生まれけむ
著者:会田 誠
販売元:幻冬舎
発売日:2010-02-25










アーティストの日常といってしまえばそれだけの話だが、アーティストはなかなか口の達者な人は少ない。実際の会田誠氏の話は聞いたことが無いが、こうしてエッセイで読むと、心のつぶやきがわかって面白い。

アートに関わる人間がアートの世界で生きているのは当然として、やはり社会とのかかわりにおいてアートがつくられているということなのだろう。アートは社会と隔絶されたところで発生しているわけではない。妻とのやりとり、子どもへの教育問題。教え子となる学生との関係など様々な俗人的なことを踏まえた上でアーティストの表現がでてくる。会田さんの作品は、そうした日常の私小説ではないが、社会への問題意識が作品作りに反映されていても不思議はない。そういう一見、関連性はないのだが、アーティストのインサイトにたって作品理解ができるかもしれない(あるいはできないかもしれない)というメタ情報を本書は提供してくれている(ような気がする)。

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Warriors of Japanese Art (山口裕美):戦うアーティストを元気づけるリーダー

IMG_0003-oiujhウォリアーズ・オブ・ジャパニーズ・アート - Warriors of Art
著者:山口 裕美
販売元:講談社インターナショナル
発売日:2007-02-01








先日、アート界のチアリーダーこと山口裕美さんにお会いした。その後に、この本を頂いた。実は既に持っていたが、改めて山口さんが世界に紹介する日本のコンテンポラリーアーテスト40人の人選が面白い。すべのアーティストを知っているわけではないが、知らないアーティストを知ってるアーティストと一緒に紹介されると、知りたくなるものだ。表紙は天明屋尚さん。

初版が、2007年2月なので、リーマンショック(2008.9)の1年半前に発売されたことになる。日本はさらなるアート不況のただなかにあるが、ここに掲載されているほとんどのアーティストが元気に今も活動しているのは嬉しい限りである。

会田誠 / 川島秀明 / 鴻池朋子 / 町田久美 / 束芋 / 天明屋尚 / 山口晃 /  奈良美智 / 児嶋サコ / 元田久治  /トーストガール / コバヤシ麻衣子 / やなぎみわ / ヤノベケンジ / 濱口健 / 加藤泉 / 加藤ミカ / 明和電機 / 三宅信太郎 / 水野純子 / 森村泰昌 / Mr. / 村上隆 / 西尾康之 / 小谷元彦 / 澤田知子 / 天明屋尚 / 椿昇 / 山口藍 /



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March 29, 2009

昭和40年に生まれたアーティストたち

1965昭和40年会の東京案内
著者:昭和40年会
販売元:Akio Nagasawa Publishing
発売日:2008-11

 

 

 

恵比寿のNAFiffにいくと いろいろな本を発見する。日本の次世代アートシーンをしょってたつ昭和40年生まれのアーティストの会「昭和40年会」という集団がある。その紹介冊子を見つけた。メンバーは、下記の7名。

会田 誠       ( 昭和40年10月4日 東京芸術大学油画科)
有馬純寿    ( 昭和40年2月1日サウンドアーティスト) 
大岩オスカール幸男  ( 昭和40年8月11日 サンパウロ大学建築学部卒業)
小沢 剛       ( 昭和40年5月26日 東京都生東京芸術大学)
土佐正道    ( 昭和40年7月16日 兵庫県生)
パルコキノシタ  (昭和40年5月24日 徳島県生漫画家、芸術家。教育)
松蔭浩之     ( 昭和40年12月18日 福岡県生大阪芸術大学写真学科)

で、パルコキノシタ君は大学の後輩で10代後半は石神井公園の近所に住んでいた。その彼と2年前のアニメフェアのパーティで20年振りに再会したら、ずいぶん太っていた。最近はどういう仕事をしているのか今度じっくり聞いてみたい。

PARCO_KINOSHITA



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September 20, 2008

「判断力批判」批判は、賛成である。

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会田誠 展 「ワイはミヅマの岩鬼じゃーい!!」」

 

 

 

 

 

 

中目黒のミヅマアートギャラリーで会田誠さんが日本国内約3年ぶりの個展を開催していたので見に行ってきた。

今回の目玉は、下記の大型作品と、上の案内のポストカードにもなっているカントの「判断力批判 」をページごとに破いて、その一枚一枚に落書きを書いている作品『判断力批判批判』である。

AIDA-3 「モコモコ」 エスキース
2008
キャンバス、アクリル絵具
72.7×60.6cm

 

 

 

また、5階にあがると会田誠氏と武蔵野美術大学のゼミ生によるコラボレーションワークの展示 兼 作業中があった。ダンボールとガムテのインスタレーション中心。これは、観賞するより、参加に意義があるようなプロジェクト。

AIDA-2



tabloid_007 at 22:24|PermalinkComments(0)

ボカンと生まれたボロホロヴィトン

chim pom-1

"Chim↑Pom(チン↑ポム)"

 

 

 

 

2005年8月に結成された6人のアーティスト集団。もともとは、会田誠さんの元にいて活動していたChim↑Pom。現在「無人プロダクション」に所属している。

chim pom-2

← 「こっくりさんドローイング」

紅一点のエリイちゃんがアートのイメージを可愛くしているのが特徴。エリイちゃんが面白いことをして、それがアート作品になってい。最初は渋谷のドブネズミを剥製にしてピカチュウを作り「スーパー☆ラット」という作品になった。

chim pom-3

←「BLACK OF DEATH」

また、下記の映像は、「アイムボカン」というプロジェクトで、ヘップバーンからアンジェリーナ・ジョリー、マドンナへと続くボランティア精神を体現するために超セレブっぽい夢を叶えるべくカンボジアに「地雷撤去」にいく。

撤去した地雷を爆破処理する際にエリイの私物(高級バッグ等)や、エリイをセレブリティーなポーズで型どった石膏像などを一緒に爆破し、同じく現地で撮影した、チャリティ−を呼びかける映像と共に日本に持ち帰り、広島市現代美術館の「新・公募展」に出品しグランプリを受賞。

chim pom-4Members of Chim↑Pom

エリイ
卯城竜太
林靖高
岡田将孝
水野俊紀
稲岡求



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August 23, 2008

コケティッシュな少女の残酷

MONUMENT FOR NOTHING
恵比寿のNADiffで購入。サイン入りだった。会田誠の作品が好き、というより作品によって会田誠が好き、という感覚である。

尾篭なものより、残酷さの中に美しさが感じられる作品が好き。



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June 29, 2008

元気になるアートで候

AIDA-1 『アートで候。会田誠 山口晃 展』2007年5月

 

 

 

 

 

昨年の今頃、行きそびれた上野の森美術館で開催された本展のカタログを入手した。最初は、会田誠氏の作品はそれほど印象に残らなかったが、本展のための大型描き下ろし作品『滝の絵』(419 x 252cm)を観たら一変で好きになった。現物を見たい。どうしても観たい...

AIDA-22



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