December 31, 2015
責めちゃう社会の方が病んでますよ/人気漫才師逮捕にみるトラウマケアの必要性
人気漫才師のメンバーTさんが逮捕された件が気になった。高校に忍び込み女子の制服を盗んだ窃盗罪。Tさんは、20年前からやっていて、自宅からは600枚の制服が出てきたらしい。
まあ異常は異常な行為なんだけど、それだけの問題なのかなぁと思った。Tさんも事務所クビになって、社会から抹殺されて、社会復帰のチャンスもないのかもしれないとなると、マスコミのショッキングな報道の仕方も責任あるよ。長年メディアにかかわる者として、そういう情報の消費でいいのかなと思案する。
この件が気になって鴻巣麻里香さん(カウンセラー)と中高の友だち上田英一郎くん(ドクター)とチャットしてみた。
結論から言うと、このTさんは依存症である。Tさんが小学校5年生の時にお母さんが自殺、お父さんは事業で失敗し多額の借金を抱えた上ギャンブルに身をやつした。考えてみて、幼少期の子どもが一切の親からの愛情を得ることができなかったとしたら。普通だと、親や周りの愛情に良い意味での依存をして人は成長するのに、それがまったくなかったとしたら、心の不安定を抱えたまま、大人になるってことだよね。
窃盗は依存の対象になり得る。スリルが得られて、抱いてる苦しみをスリルに置き換えることができる。
自傷は心の痛みを身体の痛みに置き換える行為でもある。窃盗は心の痛みをスリルに置き換える行為でもあり、スリルから快楽を得る(絶叫マシーンやお化け屋敷と同じ)ことで痛みを忘れることができ、その働きは自傷と似ている。
自傷は心の痛みを身体の痛みに置き換える行為でもある。窃盗は心の痛みをスリルに置き換える行為でもあり、スリルから快楽を得る(絶叫マシーンやお化け屋敷と同じ)ことで痛みを忘れることができ、その働きは自傷と似ている。
鴻巣 麻里香さん「人は生きるために何かに依存しなければならなくて、トラウマを負った人であればより深刻に依存先を必要とします。安心できる依存先がなければ不健全な何かに走るのは当然で、そして不健全な依存先の方が容易に手に入ってしまうんですよね…。自己治癒としての依存、故意に自分を害する行為としての依存は専門家の間では理解が進んでますが、まだまだ一般的ではなくて、こういった事件が報道されるたびに誤解が蔓延して悲しくなります。」
大手製紙会社社長のカジノ(ギャンブル依存)も不適切な養育(英才教育)が原因の依存症と考えられる。
ではどうするか?
専門医の治療が必要なのである。その認識が世間に薄いことが問題で、罰は与えるけれどケアはしない。だから薬物中毒みたいに繰り返す。Tさんの問題って実はまったく解決してない。罪と治癒はセットと考えるべき。
このニュースは、芸能ニュースじゃなくて社会ニュースとして扱わないとダメなんじゃないかぁ。
治癒の方法が、あえて不謹慎な言い方をすればライザップみたいに、わかりやすいケアプログラムがあるといい。(あったら教えてくださいな?)「食べすぎて太るのと同じ、人は誰でも傷を負えば何か不健康な対象に依存することがある」(鴻巣 麻里香さん)なるほど、だったら尚更身近に考えなきゃね。
深夜ラーメンなど、自らの健康を害する習慣もストレス・コーピング(ストレスにうまく対処しようとすること)の対象らしい。
だけど、この程度の依存を治すためにカウンセリング料を払って止めたいと思う人はいないので、「トップアスリートのパフォーマンスを最大限引き出すためのメンタルトレーニング」(上田英一郎さん)という風に克服・成長という健康志向の捉え方も出来るのではないか。面白い見方!
トラウマからの依存って個人的なものだし、つい他人事になっちゃう。だから、人のことを思いやるイメジネーションを持たないとね。マスコミも自らのパワーを自覚して、それを行使してほしい。上辺の報道だけじゃく、その根本にある問題意識を探って知らせてほしい。人はみんな違うし、その違いこそが人の社会なんだと思う。自分と違う価値観の人を認める寛容さの伝達こそ、マスメディアに課せられた役割なんじゃないのかな。
幼少期にお母さん自殺して、お父さん会社潰れて、家族に捨てられた子供のその後の負の依存を誰が責められるのかと思う。
今後、トラウマケアも医学の大事な役割として理解を深めていきたい。
◆このブログを書くきっかけとなった記事
◆報道の仕方の問題提起の記事
tabloid_007 at 11:45|Permalink│Comments(0)│