ロビン・ライト

May 07, 2011

映画「美しい人」(Nine Lives) :ドラマはドラマチックなときに起きてない

nine-lives-2005_poster美しい人 デラックス版 [DVD]
監督:ロドリゴ・ガルシア
出演:キャシー・ベイカー
ジェネオン エンタテインメント(2007-02-23)











ノーベル文学賞作家ガルシア・マルケスの息子で、『彼女を見ればわかること』を監督したロドリゴ・ガルシア作品。

9人の女優(キャシー・ ベイカー, エイミー・ブレナマン, エルピディア・カリーロ, グレン・クローズ, ロビン・ライト,シシー・スペイシック,ダコタ・ファニング, リサ・ゲイ・ハミルトン, ホリー・ハンター, アマンダ・セイフライド)による、9つの物語。すべてのエピソードが10分程度に収められている。

この映画を評すのに、この英語版ポスタービジュアルがもっとも内容を言い当てている。この映画には、映画で期待される物語が一切省かれているのだある。つまり、それは内容がないという意味ではなく、人が期待する"ドラマティックな何か"がない。パンの耳のように、周辺しか描かない。自分がどうしてそうしてしまったのかということを、ふと考える。そういう瞬間を集めたような手法に共鳴するのだ。


・刑務所に服役しているサンドラは、娘との面会時にトラブルを起こす。
・ダイアナは偶然昔の恋人に再会し、まだ愛しているという事実に愕然となる。
・父親とのトラウマが原因で家を出ていたホリーが、自暴自棄のまま突然帰ってくる。
・友人夫婦の家に招かれたソニアと夫。突然夫の口から友人に向かって明かされる、彼女が堕胎したことの秘密。
・障害者の父と、その父と距離を置く母・ルース。ふたりの間でそれぞれの思いの伝達者となっている娘のサマンサ。
・妻に自殺された元夫のために葬儀に参列したローナ。自殺の原因は彼女にあった。
・夫の介護に疲れ、渇きを癒すように不倫に走るルース。が、彼女は別の部屋で起こった光景を目撃したことをきっかけに、家族に思いを馳せる。
・カミールは、女性の身体の象徴である乳房を失う



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September 12, 2010

DVD"The Private Lives of Pippa Lee": 平凡な人生も奇想天外な人生も、どちらの人生も満足できる。

l_1134629_02c2288e50歳の恋愛白書 [DVD]
出演:ロビン・ライト
販売元:ポニーキャニオン
発売日:2010-08-04










今年2010年、主演はショーン・ペンと離婚したロビン・ライト(ペンは付かなくなった)が主演のドラマ。ヒロインの若かりし頃を、人気テレビドラマ「ゴシップガール」で人気のブレイク・ライヴリーが演じている。
監督・脚本は、脚本家のほか小説家としても活躍するレベッカ・ミラー。彼の脚本に惚れ込んだブラッド・ピットが製作総指揮をしたことも話題になった。
それにしても、原題"The Private Lives of Pippa Lee"(ピッパ・リーの私生活)がどうして「50歳の恋愛白書」になっちゃうの? キアヌ・リーブスとの火遊びあたりをそう捉えるのかね。しかも、宣伝コピーを見ていると「50歳からのセカンドライフ指南書」とかあるし、担当者はこの映画見ないで仕事しているのかと思った。

以下、ネタバレ注意!

内容は、誰から見ても理想的な女性ピッパ・リーは、かなり年上のベストセラー作家(アラン・アーキン)と結婚し、完璧な妻を演じながら50歳まで美しく年を重ねてきた。しかし、若いころのピッパ・リーの人生は波瀾万丈だった。そして現在。年老いた夫、反抗的な娘―幸せながらも物足りなさを感じていたピッパ・リーが、15歳年下のクリス(キアヌ)と出会ったことから変化が訪れる。

これだけ読むと"恋愛白書"となるが、内容はかなり起伏に富んでドラマチック。薬漬けの20代。浮気相手の作家(その後の旦那)とその本妻(モニカ・ベルッティ)が、冷静を装っていたのも関わらず突然朝食の場でピストル自殺しちゃう。それを引きづらず平気で再婚する二人。そして、熟年の域に達してもまだ落ち着かない。リーは深刻な夢遊病なのだ。夜中に寝巻のまま、キアヌの務めるコンビニに行ってしまう。

また、年老いた旦那も心臓が悪く気を使っていたのに、自分の神経質な既婚友だち(ウィノナ・ライダー)と浮気している。こうなったら、という訳ではないだろうが、年下のキアヌのところへ行くが、マリア様の刺青を体全体にいれたキアヌは、肉体関係を求めるわけでなく、旦那の病を独特のインディアン式祈祷で恢復させようとする。こんな奇妙な話なのに、映画の描写はちっとも奇想天外ではなく、むしろ現実ってこういうもんだよなぁと思わせる説得力があった。
最近観た映画では秀逸。



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