January 24, 2010
ビリーバットへの期待は、コミック業界への期待。

著者:浦沢 直樹
販売元:講談社
発売日:2009-06-23
浦澤直樹さん原作の新作コミック(といっても、既に2巻でているが)は、期待を裏切らないNHK大河ドラマのようなものである。もう娯楽ファンなら、義務的に読み始めてしまうのだ。ということで、本当はすべての単行本が発売されてから、一気に大人読みしたい作品なのだが待てずに読みはじめてしまった...。
東京怪童 1 (モーニングKC)
著者:望月 ミネタロウ
販売元:講談社
発売日:2009-06-23
「ドラゴンヘッド」「万祝 」など、大好きなストーリーテラー:望月峯太郎さんの最新作。
脳科学者の玉木健一郎のもとで治療を受けている患者たちは、それぞれ脳になんらかの疾患をもっている。主人公ハシ(19歳)は思ったことを何でも口にしてしまう少年。ハナ(21歳)はところかまわず勝手にオーガズムがやってくる女、マリ(6歳)は人の姿のみ見えない少女、英雄(10歳)は自分をスーパーマンだと思い込んでいる少年、の4人を中心に話がすすむ。
X-MENのような特殊な能力の人たちの話というより、何か青春の悩みのメタファーのような話の展開が興味深い。1巻目は登場人物とその環境の説明といったところだが、今後が楽しみ。
さすらい―青木雄二傑作集 (Mag comics)
著者:青木 雄二
販売元:マガジンハウス
発売日:1997-06
今度は、貧乏の話。いまは亡き「ナニワ金融道」の作者 青木雄二が1994-7年に連載したものを単行本化したもの。
青木雄二の漫画の面白さは、著者の過去に起因するところが多い。高校卒業後、山陽電気鉄道に入社。学歴重視に不満を感じ3年で退職。その後、地元岡山県に戻り久米南町役場の職員に就くが、3ヶ月で退職。その足で大阪に出てビア・ホールでアルバイト。その後はパチンコ店員やキャバレーのボーイ等の水商売を中心に約30種類以上の職を転々とする。
そんなこんなで、漫画家デビューは44歳。52歳(1997年)で5億円を超す印税収入を得たことで引退。以降、遊んで暮らすと宣言したが、肺がんで58歳で亡くなる。58年の人生うち、遊んで暮せたのが6年間。人生そんなものかもしれない。
本書は、2006年にモーニングに掲載されたSF読みきり作品である。著者のBoichi (ぼういち 1973年 - )は、1993年に韓国で少女漫画でデビュー。漫画に活かすため大学では物理学を専攻、演出技術を学ぶため映画専攻の大学院へ進学。以降は2004年に日本の漫画界でデビューした。
ワタシの世代には懐かしいテイストのSF作品である。1970年代の香りとでも言おうか。ハヤカワ書房のSFマガジンを読み漁っていた頃、社会的には公害問題など地球環境を考える上でSF的発想は欠かせないものだったのかもしれない。しかし、少年達にとってみれば、地球が破滅に向かう反面、興味が宇宙に向けられたのはワクワクすることだった。そういう時代の思い出させる作品である。
福満しげゆき氏の作品は、独特の内省によって描かれている。女流作家のコミックエッセイと違い、福光さんの日常はほとんど何も起きない。何も起きないことがネタになっているのだが、本作品においては、奥さんのキャラクターが非常に重要で、愛情からくる苛立ちのような些細なことが日常の重要に転化し、なんとも味わいのある面白さにつながっている。
この度は御愁傷様です (モーニングKC)
得たいの知れぬ奔放な父が死に、「遺産分配はダーツで決めろ」という遺言だけ残った。父は、遺産らしい資産を残していったのか?残された中年の子供たちは父が仕掛けたゲームにまんまとのことになる。
自分が死んだ後のことは確認できないわけだが、死んだ後のことを想像し楽しんでしまう発想が楽しい。だから、死後の世界よりも生きている間に死後を楽しむ話なのだ。
スノウブラインド (モーニングKC)
2008年放送のテレビ東京系の『週刊真木よう子』の第2話としてドラマ化された原作短編が収録されている。すぎむら しんいち氏の作品を読むのは初めてだった。まだまだ勉強不足だな。「OLDK築25歳」は、安アパートに住むOLが隣近所の雑音から幻覚をみていたはずが現実だった...とか、面白すぎる。「パパが地球人を辞めた日」も面白かった。これはお買い得ですよ。
◇すぎむら しんいち(1966年2月27日 - )=漫画家。北海道札幌市出身。
第14回ちばてつや賞ヤング部門大賞受賞。
モーニング増刊号。なかなか入手できなかった。やっと手に入れた。第1回モーニング国際新人漫画賞の大賞受賞作である「影の祭」(story: bikkuri, art: rem)が読みたかったからだ。
rem(25歳)は、テキサス州ヒューストンに住んでいる。しかし、10歳ごろ友人がお土産にくれた日本語版の『らんま1/2』に夢中になり漫画家を夢みたという。好きな漫画は『アイシールド21』『ブラック・ジャック』などで、絵で一番影響を受けたのは小畑健『DEATH NOTE』らしい。
映画だろうが、漫画だろうが素晴らしい才能をもった人が国境を越えるのは道理の時代になった。だから、氾濫する情報過多からの目利きが求められるのだ。
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20071128bk05.htm
http://e-morning.jp/mimc/