週刊 『フクダデスガ』

ダークナイト ライジング [DVD]
原題：The Dark Knight Rises

監督 クリストファー・ノーラン
出演者 クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン
トム・ハーディ、ゲイリー・オールドマン
アン・ハサウェイ、モーガン・フリーマン
配給 ワーナー・ブラザーズ
公開  2012年7月28日






7月25日、東京国際フォーラムでジャパンプレミアがあり行ってきた。

本来であれば、監督、キャストが来日予定だったが、米コロラド州デンバー郊外オーロラ市の映画館で起きた銃乱射事件の影響により来日中止となった。

この事件は、現地時間7月20日夜12時からの特別上映（米国での初日）に、ガスマスクを着用したジェイムズ・ホームズ（James Holmes, 24歳）が観客に向けて無差別に銃を乱射し、12人が死亡、58人が負傷した。

犯人は防弾チョッキを着て完全武装、ガスマスクを着けていた。前方右側の出口から上映中の劇場に入り、催涙弾ガスを放ってから、劇場の前に回って銃を乱射し始めたという。満員の初日特別上映イベントだったため、イベントの一部の余興かと思った人もいたらしい。

しかしそれは現実で、次々と人が倒れていった。撃たれた人々が逃げまどう中、映画はスクリーンに流れ続けた。目撃者によると、壁を突き抜けて隣の劇場にいた人に当たった銃弾もあったという。

犯人は抵抗することなく、映画館の裏の駐車場で警察に身柄を確保された。コロラド大学大学院で、神経科学の博士課程に在籍。動機は不明である。

なんという痛ましい事件。監督のステートメントにもあったが、本来、みんながもっとも安全で楽しめる映画館で悲劇は起きた。

犯人は「自分はジョーカー（バットマンの悪役）だ」と供述しているらしい。ジェームズ・ホームズの自宅アパート内には、逮捕後の捜査を予期して複雑な仕組みの爆発物が大量に仕掛けられていた。数日かかって警察はロボットなどを動員しの撤去に成功した。どこまでジョーカー気取りの犯人なのだろう！怒

この憤りは、犯人の卑劣な行為に対するものだけでなく、映画という健全な娯楽メディアを貶めたことにも及ぶ。

私はいままで凶悪犯が映画やゲームの影響をうけて犯罪を犯すことの因果を信じることができなかった。しかし、今回残念ながら映画の悪役の影響をうけたことは従前の行動から明らかである。本当に悲しい。犯人の極刑を強く望む。

恋人を守り命を落とした3人の男性　ジョン・ブランクさん（26歳）、マット・マックインさん（27歳）、アレックス・テヴェスさん（24歳）をはじめとする多くの犠牲者の方へ心よりお悔やみを申し上げたい。

本来、映画の雑感を述べるブログであるが今回は映画の感想にならない。現実が映画を超えてしまったからだ。映画の出来は本当に素晴らしいものだった。

だが、いまは負傷者、遺族のご家族の心の平静が戻ることを祈らざるを得ない。

犠牲者とそのご家族に対する寄付口座をデンバー州が設置した。製作会社、配給会社はすでにUS$2Mの寄付をしている。

Shooting Victims Fund
【The GivingFirst.org】
https://www.givingfirst.org/

SLEUTH
「スルース」(2007年）は、「探偵スル−ス」(1972年)のリメイクである。前作は、ローレンス・オリビエとマイケル・ケインが競演だったが、35年の月日を経て、今度はマイケル・ケインがローレンス・オリビエの役割を担い、ジュード・ロウが相対する。
一番大きな違いは脚本である。そう、ワタシの大好きな戯曲作家であるハロルド・ピンターが書いているのだ。これだけで劇場に行く意味がある。そして、監督はケネス・ブラナー。もういうことない布陣。
 
二人の男がロンドン郊外の邸宅の中で、心理戦を行う、一切の舞台装置は必要ないかにみえる。ピンターのオリジナルではないかと思えるくらい緊迫した二人の男の掛け合い。騙す方が騙され、騙される方は、それを予見してまた騙そうとする。しかし、これは謎解きやどんでん返しなどの趣意はなく、あくまで二人の男の関係性、主従関係、愛憎関係、愛情関係を提示し続ける。終わりのないゲームのような対話の中で新しい関係は見つけられるのか。そもそもこれは解決のための会話なのか。誰にもわからないし、目撃者はただその成り行きに拘束される。

http://www.sleuth.jp/
http://www.sonyclassics.com/sleuth/