September 19, 2011
CHRISTIES Evening Sale:スーパーマーケットで買うアートは、価値を貨幣に変える。
CHRISTIES NEWYORKPost-War and Contemporary Evening Sale
Wednesday 10 November 2010
これは少し前のクリスティーズの現代アート販売のカタログ。この会は、76点$272M(250億円程度)が落札された。
リキテンスタインやバスキアなど人気で安定した価格帯の作品が出品されていた。
よく聞かれるアートに関する質問に「この絵は投機的な価値がありますか?」というのがある。絵を買ったり、売買したりした経験からすると「投機的価値?」と思うが、たぶん自分も最初に買った時に思い浮かばなかったはずがない質問なのである。時間が経つににつれ、プロっぽいふりをしているだけなのかもしれない。
いまなら、こう答えられる。「投機的価値は、2つの側面で考えた方がいいでしょう」と。1つは、自分にとっての価値。自分がいいと思ったら、それを部屋に飾って友達に自慢したり、またそのアーティストが何か雑誌で話題になったりすると、自分の目利きが評価されたようで嬉しいものだ。つまり、それが自分にとっての投機価値。
もう一つは、クリスティーズやサザビーズなどで売買されている本来みんなが聞きたい社会的な価値である。前者は、友達の作品から、銀座や白金のギャラリー(プライマリー市場といって、ギャラリストがアーティストを見つけてくる)から買ったものとすると、後者はアーティスト自体が評価があったり有名で、もしくはすでに物故者になってるケースもある。持ち主もすでに亡くなって遺族が売りに出している作品も少なくない。こういうオークションハウスが取り扱うのがセカンダリー市場という。売る方も買う方も経済的な価値にも一目置いている。
では、どうしてオークションで買う人は。前者のような比較的安価で成長性も見込める作品を時価取引しないのか?という質問がとんでくる。野菜に例えるとわかりやすい。農家直販もいいが、きちんとパッケージされ価値づけされた状態で売っているスーパーマーケットが良いという人もいる。単にそういう違いなのである。
だから、オークションハウスでの買い物は、作品の状態(いままでの売買履歴やその真贋など)がきめ細かく記されている。ゆえに、オークションハウスは徹底的にアーティストやその作品をリサーチするスペシャリストが数多く在籍している。
このカタログの表紙を飾るロイ・リキテンスタインの「Ohhh...Airight...」(1964)のリソースについてもしっかりと分析され書かれている。この作品はDC Comicsの「Secret Hearts」(#88 - 1963)からインスピレーションを得たとある。こういうメタ情報が作品を"好き"という以上にコレクターを満足させるメタ情報になっているのだ。
アートは、創造者と鑑賞者が一対一で同じ"美"を認め合った瞬間に成立する。ただ、そこには金銭の売買、社会的ステータスなど複雑な要素が絡み合って、ひとつの世界を築いているのだ。






