January 08, 2012
映画【幸せがおカネで買えるワケ】 (原題 The Joneses):セールスプロモーションつき隣人愛。傑作!
幸せがおカネで買えるワケ [DVD]
出演:デミ・ムーア
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン(2011-04-22)
凄い映画だった!大傑作だよ!もう、安倍公房の「友だち」やジョン・ベルーシ主演の映画「ネイバーズ」に匹敵するブラックユーモアの世界である。プロットもユニークで新しいし、演出も冴えていた。
... にもかかわらず、酷い邦題。当然、劇場未公開のストレートDVD。しかも、B級コメディ的な凡庸な売り方の為、日本のパッケージなんて、赤文字系!(アメリカンコメディの定石、白地に赤文字)
もし、私がこの映画の宣伝担当者なら、とり・みきさんのSF短編好きとか、カフカ好きとか、そういう人たちに応援団になってもらって盛り上げるんだけどなぁ。絶対“明るいコメディ”売りだけはしないよね。
まあ、アメリカでの売り方に準じちゃったんだろうな。製作費約10億円で米国内で1.5億円ちょっとの興行成績。つまり惨敗だったわけ。だけど、ヒットするしないというよりも、こういう面白い映画がつくられていることが大事なんだ。
さて、物語は....以下、【ネタバレ注意!!】
平均年収1千万円以上のある高級住宅街にジョーンズ一家が越して来るところから映画ははじまる。家族4人は揃って容姿端麗。家族仲も良く、大邸宅に住み、車や家具をはじめ、身の周りのもの全てが最新の高級品や新製品という一家。
瞬く間に街中の憧れの的となったジョーンズ家は、お近づきの印にと、ホームパーティを開催する。カッコいい大型液晶テレビ、冷凍と思えない寿司。子ども部屋では、3Dゲームのセット。招かれた隣人たちは、それらの商品に魅了され同じものを購入するようになる。
実は彼らはそれらの商品の販売促進目的で雇われたニセ家族。いわば、リアルなステルス・マーケティングなのである。本部があって全米中に“一家”を派遣し、細かな売上バランスを調整している。彼らの身に着けるもの、食べるものは すべて近所のショップで同時に扱うようになる。
新型ゴルフクラブを売り込む場合、ジョーンズはわざとコーチ兼シッョプ店員に教えてもらい、先生もびっくりするくらいのパフォーマンスをみせる。だから、一気に町でのバイラル効果が得られる。これはヘタなテレビ・雑誌より効果がある。昔でいうと、タッパウェア商法の巧みなバージョンである。
ソーシャル時代の新しい販売方法として、ヒトがモノに従属してしまうという皮肉!実は我々はすでに笑えないのである。ツイッターやフェイスブックを通じて似たようなことをやっているからである!
必見!