June 14, 2008
52年前の録音が叫ぶこと
『死刑執行』2008年5月6日放送 10:00から (55分間)
写真は、大阪拘置所の刑場の写真。
いまから53年前の1955年に大阪拘置所が職員への教育や死刑囚への待遇改善の目的で制作されたテープが放送された。
テープには死刑執行を死刑囚に伝える刑務官の声や、読経が流れる中で刑務官と死刑囚が最期のやりとり、死刑執行の瞬間を収めた様子が収録されている。死刑囚の遺族の了解を得ており、名前は伏せて放送されるほか、テープに合わせて死刑執行にかかわった元職員や検察OBらへの死刑執行の現状について取材も加えられている。これまで日本で死刑執行時の音や映像が放送されたことはない。文化放送がこの録音を入手した経路は明かされていない。
裁判員制度開始を来年に控え、鳩山法相が死刑を巡って踏み込んだ発言をしたり、以前にも増して死刑執行されたりする中、極刑の実情を知ってもらうのが狙いという。
死刑の瞬間の音声、というショッキングな報道のみが取りざたされていたが、実際の録音はお経の声でしめられており、むしろそのリアリティは執行される直前に死刑囚が刑務官らに感謝の言葉を述べるところだと感じた。
ワタシ自身、森達也の「死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う」を読んで 死刑存置にやや抵抗を持つようになったが、遺族感情からするとそう割り切れる問題ではない。人が人を合理的に殺す理由があるのか、人は行き続ける限り自問自答をやめてはならないのだろう。