ススムちゃん

March 09, 2008

殺してもニュースにならない時代

S2

永井豪傑作選 (文庫版) 【コミックセット】
1971(昭46)年10月号で発表された永井豪の読みきり短編「ススムちゃん大ショック」(30p)は、大変衝撃的な作品であった。

「おとながボクたちを殺し始めている…」。ススム少年は、小学校に行く途中立ち寄った公園で、若い母親が自分の子供を殴り殺すのを目撃する。交番に駆け込むと、警察官が子供に銃を向けており、学校からは友達の悲鳴が聞こえていた。

S1

永井豪は、コトの因果関係について一切作品で説明していない。何か親子の糸が切れたとしか推測を許さない切羽詰った状況を冷徹に描く。

逃げた少年達が「ネズミやゴギブリを殺してもニュースにならないのと同様に子供を殺してもニュースにならない事態になったのではないか」と想像する場面がある。30年後の子殺しが頻発する現在を予見した誠に恐ろしい作品である。

いま、この短編を読もうと思ったら講談社、小学館など「永井豪傑作選」(朝日ソノラマ)を探すべきだが残念ながら絶版になっている。朝日ソノラマのものは、中古でも4千円近くする。

ワタシは、ケータイサイト「まんちゅ」でダウンロードして読んだ。そういう時代なのだろう。から http://manchu.jp



tabloid_007 at 09:48|PermalinkComments(0)