ジョージ秋山

June 20, 2009

海人ゴンズイは空を飛ぶ

GONSUI海人ゴンズイ (ジョージ秋山捨てがたき選集 第 1巻)
著者:ジョージ秋山
販売元:青林工藝舎
発売日:2009-05

 

 

 

 

先日、松山ケンイチ主演で「銭ゲバ」がテレビドラマ化されたので、にわかに秋山ジョージ作品が掘り起こされているのだろうか。しかし、その見当が違っていた。本作は大西祥平氏という熱狂的な秋山ファンの手によって掘り起こしたものなのである。「海人ゴンズイ」は、1984年(40号)に「少年ジャンプ」で連載された作品である。1984年当初のジャンプは400万部達成前夜の活況を呈していた。連載号のラインナップは、「北斗の拳」「キン肉マン」「こち亀」「コブラ」「気まぐれオレンジロード」「奇面組」などなどあげればキリがないくらいヒット作が詰まっていた。

本作は舞台は1800年の流刑島。主人公は3歳くらいのアフリカ系奴隷の子ども。ヒロインの女性は、子どもが白骨化するで抱いている狂人。この不気味なまでに少年誌の枠をこえた設定は、人気にも反映し、いつしか低迷していく。本作が打ち切られた後に「ドラゴンボール」が始まったのは歴史の皮肉である。

しかし、この80年代の陽気をさえぎる力こそがジョージ秋山 作品の魅力なのである。



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January 04, 2009

70年代で生きている2009年の事情

nagataniマンガ編集者狂笑録 (水声文庫)
著者:長谷 邦夫 (ながたにくにお)
販売元:水声社
発売日:2008-04

 

 

 

 

長谷邦夫さんは、長年赤塚不二夫さんのブレーンをやっており、自身でもパロディマンガを描くマンガ家である。その長谷さんが、戦後漫画史を支えた名編集者を紹介している。「トムとジェリー」という項目で、29歳で「週刊少年マガジン」編集長に大抜擢された内田勝さんとフクヘンの宮原照夫さんのコンビについて記している。編集長になる前後と「巨人の星 」を生むまで、100万部到達記念で富士山登頂あたりまで描いている。

これを読んで思い出した。当時、内田さんは疲労から両目の瞼が開かないほど困憊していたが、ほとんど杖と酸素ボンベを頼りに富士山に登りきった。その顔があまりにも壮絶だったので、後にジョージ秋山さんが内田さんの風貌を『アシュラ 』のモデルにしたという話だ。内田さんは、ジョージ秋山さんの息子さん命君の命名者でもある。それくらいの関係なのである。

そのジョージ秋山さんが1970年同時期に「少年サンデー」に描いた『銭ゲバ』が今度 日テレでドラマ化される。我々はまだ偉大な70年代のクリエイティブを超えられないでいる。頑張らねば。

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