August 18, 2011
映画「ツリー・オブ・ライフ」 (監督 テレンス・マリック):母の暖かさと子供たちだけの残酷な世界が同居する不思議な世界
監督:テレンス・マリック
主演:ブラッド・ピット
ショーン・ペン
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ
138分...
テレンス・マリック監督作とわかってきている人には耐えられる。CMでブラピとショーンペンと思ってきていたカップルには気の毒なことをした。
ほとんどの人が溜息をついて劇場をあとにした。
1950年代半ば、オブライエン夫妻は中央テキサスの田舎町で幸せな結婚生活を送っていた。ブラピ演じる昭和な父は、長男ジャックに、タフな態度で子育てする。まあ、当時は日本も含めて"厳格な父"はどこにでも存在したと思う。
父の横暴から庇ってくれない言いなりの母にも子ども達は不満を抱くようになる。成功した大人のジャックはショーンペンが演じいてドラマの前後にちょこっとでるくらい。大人になってもトラウマから離れられないようだ。
物語を言ってしまえばこれだけの話なのだが、ドラマは線的に語られる訳ではなく、自然や宇宙や身体世界などのカットがランダムに挿入され、クラシックの名曲も場面と関係なく使われる。
ほとんどの人にとって苦痛ともいえる場面構成。会話は断片的でカタルシスはない。テレンス・マリックの壮大な8mm映画のような作品である。
ただ、私のように幼少期 山あり川ありの環境で育った者からすれば、ボールを屋根にあげて順番にとる遊びや、人のいない山小屋に子供だけで忍び込んだり、死と隣り合わせの急流で川遊びをするシーンなど懐かしい思い出が蘇ってきた。どのシーンも大人になって思い出すのが難しい非常にミニマルな世界なのだ。母の暖かさと子供たちだけの残酷な世界が同居する不思議な世界。それこそが、全力遊び世代には両立していたのだ。
たぶん、田舎育ちの男の子である程度難解な映画になれている人に共感される作品と思う。つまり、あまり一般的な映画ではない。
第64回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞作品。