クリント・イーストウッド

March 20, 2011

映画「ヒアアフター」の前と後

Hereafter_2a84301dヒア アフター [DVD]
監督:クリント・イーストウッド
出演:マット・デイモン
配給:ワーニー・ブラザース










今回の東日本大震災前に観た。震災後は、津波がきっかけになったドラマという理由で上映中止になっている。

この映画の主要な題材は津波ではなく、生死の境を見たものがその後の運命を変えてしまうことを淡々と描いている。

映画の視点は、死後の世界を肯定したり否定したりするものではない。ただ生死の境から戻った人たちが、その後の生き方を見直さざるを得ない事情を描いている。当たり前の生活が当たり前でなくなった。当たり前の生活に新しい価値が与えられる。それが九死に一生を得たものの感覚なのかもしれない。



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January 01, 2011

映画「インビクタス / 負けざる者たち」監督クリント・イーストウッド: 自分が変わるべき時に変わらないと、人を変えることはできない。

invictus-691x1024インビクタス / 負けざる者たち [DVD]
監督:クリント・イーストウッド
出演:モーガン・フリーマン
ワーナー・ホーム・ビデオ(2010-11-03)










近年のイーストウッド監督作品にハズれなし、である。しかし、いつもパッケージデザインが地味なのでDVD発売時期でさえ躊躇ってしまい後回しになっている。そして、ついにはスターチャンネルでみることになる。現状公開から1年半が経過したことになる。

舞台は1994年の南アフリカ共和国。ネルソン・マンデラは反体制活動家として27年ものあいだ投獄されていたが、この年に同国初の黒人大統領となった。マンデラ大統領は、黒人と白人の対立を無くし共に国の再建をはかるために、どうしようもなく弱かった白人キャプテン率いるラグビーチームに1年後のワールドカップを制覇させることで一体感を作ろうとするのだが...。

マンデラは屈強な精神で白人も差別せず、赦すことで徐々に民力をあげていく。

I'm captain of my soul,I'm master of my fate.



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July 18, 2010

劇映画『ファイヤーフォックス』 監督・出演クリント・イーストウッド:ソ連が凄い秘密兵器をつくったので米国が盗みに行く話。そう説明するとちっとも格好良くないが...

firefox_ver2-Sファイヤーフォックス 特別版 [DVD]
出演:クリント・イーストウッド
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2009-09-09









クリント・イーストウッドは、役者になって数年のうちに映画の監督をやっている。1971年から32本も監督しているのだ。この20年の間にも随分と面白い作品を演出しているので、つい1982年の本作がWOWOWでやっていたので観た。完全なアクション映画。ベトナムでトラウマを負った元軍人がソ連から秘密兵器を盗む話。軽快なテンポでただ楽しめた。20年前の特撮はまったくチャチではない。まあ考えて観れば「スターウォーズ」(1977)から5年もたっているのだから、そう昔という感じはしないな。

1992 許されざる者
1995 マディソン郡の橋
2000 スペース・カウボーイ
2002 ブラッド・ワーク
2003 ミスティック・リバー
2004 ミリオンダラー・ベイビー
2006 父親たちの星条旗
2006 硫黄島からの手紙
2008 チェンジリング
2008 グラン・トリノ
2009 インビクタス/負けざる者たち

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January 24, 2010

社会の歪が生みだす"ひとさらい"

changeling2_largeチェンジリング
出演:クリント・イーストウッド
販売元:ジェネオン・ユニバーサル
発売日:2010-01-22









チェンジリングとは、取り替え子のこと。ヨーロッパ民話で、妖精が人間の子供をさらった後に置いていく妖精の子供。しかし、1928年の実話に基づいた本作は、さらわれた子どもを探す母の話になっている。数ヵ月後に見つかった子どもは、自分の子供ではないのに、警察もマスコミも信じてくれない。当の子どもが嘘をつきとおす。何のために?そこに当時の時代背景(女性の社会的な立場の弱さ、警察のプライド)があいまって、事態を複雑にする。

クリント・イーストウッド監督は、話をシンプルに丁寧な描写で描く。当時の未成熟な社会を描くのが目的ではなく、子どもを失った母親の力を提示しようとする。その強い力がストーリーのベースとなり、稀有な作品に仕上げている。



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January 16, 2010

70年代のアメ車が覚えていた正義感とは...

grantorino2_largeグラン・トリノ [DVD]
出演:クリント・イーストウッド
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2009-09-16










許されざる者」「マディソン郡の橋」「ブラッド・ワーク」「ミスティック・リバー」「
ミリオンダラー・ベイビートゥルー・クライム」「スペース カウボーイ」「目撃
バード」「父親たちの星条旗 」「ホワイトハンター ブラックハート」「硫黄島からの手紙」まだ見逃している作品もあるが、前述のクリント・イーストウッド監督作品は、すべて観た。アクション、ミステリー、渋い恋愛、戦争ものまで実に幅広い分野を手掛けている。

イーストウッドのキャリア初期には、「ダーティハリー」という人気シリーズがあったが、そのアメリカを代表する正義感をあらゆる形で表現しているところに、その経歴の一貫性、頑固さが表れていると思う。

本篇は、出演する監督作品として最後の作品であると表明している。グラン・トリノはフォードの車種で、 1972年から1976年に生産された名称である。主人公の頑固な元軍人役は、妻を亡くした後もこのグラントリノを一生懸命磨いて暮らしている。古き良きアメリカが無くしたものと無くしていないものを体現しながら生きているのだ。その対比と継続に希望を感じる素敵な作品である。ストーリーがシンプルなだけに、観終わった後 涙がとまらない。



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February 03, 2008

旗をたてない英雄気取りも気にせず

flag父親たちの星条旗
英雄がいる時代が幸せなのではない、英雄を求める時代が不幸なのだ。というようなアフォリズムを読んだ事がある。いつの時代にも、「戦争」という大衆ウケする言葉で国家的な殺人を正当化してきた。

指導者は、「私」といわず、「我々」とよび、いかにも連帯責任であるかのようにそれを導いたのだ。この映画は一見、名も無い戦争の英雄を示唆しているようだが、その示唆そのものが国家のトリックに他ならない。だから、まったくこの映画は感動に値しないのだ。



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