やなぎみわ

February 27, 2010

アートと広告の近しい関係

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販売元:ディーディーウェーブ株式会社
発売日:2009-10










東京とニューヨークのキュレーター8名が、32名のクリエイターを選出し、その 作品を分析した本。うつゆみこ氏も選ばれていたので購入した。

井上嗣也さんのジョン・ヒューストン監督を起用したサントリーの広告(1987)や内田裕也を起用したパルコの広告(1985)など商業作品の中にもアートクオリティの作品がいっぱい存在することを改めて認識できる

キュレーター / アーティスト(敬称略・五十音順)
1.後藤繁雄(編集者、G/P galleryディレクター) / うつゆみこ、小山泰介、志2.賀理江子、高谷史郎、高橋盾(UNDERCOVER)
3.塩原将志(アート・バイヤー) / 桑久保徹、鴻池朋子、越中正人、曽根裕、名和晃平
4.シン・マサコ(スミソニアン博物館理事)/ 姉川たく、清川あさみ、福井利佐
5.サラ・スズキ(ニューヨーク近代美術館MoMA デザイン・キュレーター)/ 照屋勇賢、中島英樹、町田久美
5.手塚美和子(ニューヨーク・アジア・ソサエティ アート・キュレーター)/ Antenna、鬼頭健吾、郡裕美
6.デビット・エリオット(前森美術館館長)/ 会田誠、塩保朋子、やなぎみわ
7.中島英樹(グラフィック・デザイナー) / 青木淳、井上嗣也、北村信彦(HYSTERIC GLAMOUR)、佐内正史、島袋道浩
8.山下悟(+81クリエイティブ・ディレクター) / 東信、稲葉英樹、川上俊、サイトウマコト、蜷川実花

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February 07, 2010

老婆そっくりな少女そっくりな老婆

yanagiやなぎみわ[MIWA YANAGI] Lullaby

2010.01.29-03.21
RAT HOLE GALLERY
5-5-3 B1Minami Aoyama, Minato-ku,Tokyo
03-6419-3581




やなぎみわさんの新作"Lullaby"は、映像インスタレーション(2009,12min ED=1映像作品150万円)

アリスのように大きくなった老女と少女が狭い暖炉の部屋でお互いを寝かしつけようとしながら、時折癲癇を起こしたように、役割が逆転するその繰り返しが描かれる。なぜか、GENESIS時代のPeter Gabrielが演じた"Dancing with the Moonlit Knight"の演劇空間を思い出した。

今月の雑誌「THE BIG ISSUE」#135のゲスト編集長がやなぎみわさんということで、アート作品と社会の関わりについて言及していたのが興味深かった。ワタシは以前から、アート作品は社会と無縁であり得ないと考えている。社会への直接アンガージュということではなく、社会の風を敏感に感じ取る感性が必要と思うのだ。やなぎさんは、作品の社会性を考える中で、映像の可能性、物語を語る必要性を感じていのだと思う。今回の雑誌の特集で、ウィリアム・ケントリッジクシュシトフ・ウディチコなどを推挙しているのも頷ける。彼女の映像作品をもっともっと観たいと思う。


yayayayanako



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January 31, 2010

解剖学の発展に寄与したアートは、人間の内側も見つけた

IGAKU「医学と芸術展」
生命と愛の未来を探る〜ダ・ヴィンチ、応挙、デミアン・ハースト」

2009.11.28-2010.02.28
森美術館
六本木ヒルズ森タワー53階







本展は、科学と芸術が出合う場所としての身体をテーマに、ロンドンのウエルカム財団所蔵の医学資料や美術作品に現代美術作品を加えたテーマ展示。英国ロイヤルコレクション所蔵のレオナルド・ダ・ヴィンチの解剖図3点の展示公開をキャッチにしている。

写真発明の前夜、解剖学の発展に、写実的な描写は医学の進歩に欠かせなかった。しかし、そこは人間のやることである。恣意的な要素がいつしかアートとしての別の発展も遂げたのである。

ワタシの関心はもっぱら後者の方の現代アートである。だから、松井冬子さんや やなぎみわさんの作品を見たら、それで満足した。

MATUIYANA



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August 30, 2009

神様と母親と怪獣はいっしょ

yanagimiwa-1 やなぎみわ「婆々娘々」展

開催期間 2009年06月20日-09月23日
国立国際美術館 
大阪府北区中之島4-2-55
06-6447-4680

 

 

 

2009年春に東京で写真展「マイ・グランドマザーズ」を行ったやなぎみわさんが、それに加えて今年6月の第53回ヴェネチア・ビエンナーレの日本館で発表された「Windswept Women: 老少女劇団」を大阪で展示したので行ってきた。

巨大な老女とも中年女性ともいえる女性たちはエルネギッシュで荒々しく、そしてどこか母性も貯えている。大地を踏みつけながら、なぜか張りのあるおっぱいだったり、萎んでいたり、女性の持つ生命感を表している。

先だって、NHKの「日曜美術」でも取り上げられていたが、撮影は特撮現場さながらのスタッフィングで、特殊メイクから扇風機、ジオラマまで大掛かりなものであった。作品自体も巨大なインクジェットに巨大な額装が施してあり、巨女が地球を荒らしているような怪獣映画っぽいギミックも感じられた。

この独創性とイマジネーションを掻き立てる作品こそが、やなぎさんのアートの面白さなのである。



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April 06, 2009

50年後のスーパーおばあちゃん

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やなぎみわ―マイ・グランドマザーズ
著者:東京都写真美術館
販売元:淡交社
発売日:2009-03

 

 

 

 

現在、東京都写真美術館で開催中のやなぎみわ「マイ・グランドマザース」展は、シリーズの最新作である。今年の写真展示ではベスト!

左が「SACHIKO」 独り暮らしに慣れたはずのサチコが、突然思い立って飛行機に飛び乗り、イビサ島に住む友だちキミコに会いに行く。

右は「MINEKO」 2051年4月12日 スリランカ、アダムスピーク山頂よりインド洋上へ飛行。

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会 期:2009年3月7日−5月10日
休館日:毎週月曜日
会 場:2階展示室

◇ やなぎみわは、京都市立芸術大学大学院美術研究科修了
1993年 京都で初個展
1996年 海外の展覧会にも参加
2004年 グッゲンハイム美術館での個展を皮切りに、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて「少女地獄極楽老女」展
2005年 原美術館にて「無垢な老女と無慈愛な少女の信じられない物語」を開催

本展では2000年に初発表し、国内外で高い評価を得た「My Grandmothers」シリーズより、新作を含んだ約30点を一挙公開。若い女性が思い描く50年後の自分の姿を作り上げ撮影した作品の数々には、作家と被写体が対話を繰り返し、想像した将来の姿についてのテキストを付している。
ニューヨーク、ヒューストンの個展などを経て、2009年にはベネチア・ビエンナーレ美術展への出品が決まったやなぎみわの最新作である



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August 30, 2008

微かな揺らめきを逃さない映像アート

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【液晶絵画 Still/Motion 】

 

 

 

 

 

恵比寿の東京都写真美術館で開催されている本展に行ってきた。最近は、液晶の発色もよくなり、展示環境も写真や絵画と遜色ないレベルになってきた。先日行った水戸のジュリアン・オピーの展示で既に証明されているが、HDクオリティで高彩度のモニターに精緻なCG作品を制作すれば、立派な作品展示が可能である。

もともとビデオアートは、1960年代に登場しナム・ジュン・パイクアンディ・ウォーホルブライアン・イーノなどがビデオならではの実験的映像作品を作り出してきた。

今回の注目は、やはりジュリアン・オピーだろう。それと、やなぎみわさんの作品。少女たち四人のうち二人が幼女のお面を被って喧嘩している。この未来と現在が激しく交差するとこを映像でみせているところにリアリティと幻覚が同時に体験できるような気がした。

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May 26, 2007

昔々じゃなくて、今の今のお話だよ

Fairly Tale 老少女綺譚
先日このブログでも「Elevaetor girl」を紹介したが、ついに写真集を見ることができた。これは、フォトドラマの体裁になっているアート本である。少女が荒野を彷徨っていると砂女に出くわす。砂女は足は少女のようで手は老婆のようである。砂女を捜すうちに童話の残酷な世界に引きずり込まれる。赤頭巾、白雪姫、シンデレラ、眠り姫、マッチ売りの少女、グレーテル...すべて老婆と少女のふたりで演じている。童話が現実の悪夢になる。必読。

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April 29, 2007

デパートガールが血のバターになる日

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いつも名前をきいて気になっていたのだが、きちんと調べることもなく、展覧会に行ったこともない。今朝、新聞を読んでいて、また"やなぎみわ"さんの名前を読んだ。早速、Googleで検索し、一通り経歴や記事、いくつかの作品のサムネイルを見た。スグに書籍をオーダーした。早くもっと知りたい。どうやら、ファンになったらしい。

■やなぎ みわ=美術作家。1967年神戸に生まれ。京都市立芸術大学院美術研究科修了。

1993年エレベーターガールをモチーフに生身の女性を使った作品を発表。その後写真・ビデオ映像等を使った作品で国内外の展覧会に参加。
2000年からは、若い女性が50年後の自分に扮する「マイグランドマザーズ」シリーズと、実際の高齢の女性たちが古い記憶のなかの祖母について語る「グランドマザーズ」を開始。
2004年には寓話に基づいた写真と映像作品「フェアリーテール」を発表しています。
2002年兵庫県立美術館開館記念展「未来予想図ー私の人生劇場」出展。京都市在住。

2004年度兵庫県芸術奨励賞受賞



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