ばばこういち

January 25, 2009

死ぬに死ねない生きながら死

AMERICA ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)
著者:堤 未果
販売元:岩波書店
発売日:2008-01

 

 

 

 

 

堤未果(つつみ みか)さんは、ジャーナリスト・ばばこういち氏の娘さんである。さすがに血は争えない。非常に現代の世相を精緻に完結に描いている。

ブッシュ政策の失政により、貧富の差が拡大したのではない。前政権は貧富の差を拡大させることによって、貧困層をビジネス化することに成功したのだ。そういうアメリカの潮流が日本にも影響を及ぼしている。だから、本書は2008年1月22日に初版をだしてから、同年の10月10日で17刷りを数える。日本の人々にとっても非常に切実な問題を扱っているからだ。

米国では健康保険がほとんど加入できない。病院が株式会社だから効率を求める。だから、民間医療は保険会社の天国になる。お金がない者は治療を受けられないだけではない。病気=借金を意味し、ひいては、「死ぬに死ねない『死』」を意味する。医者は、患者ではなく、保険会社の査定者をみて仕事をしている。

政府が民営化してはいけない領域の中に「医療」と「戦争」と「教育」がある。このほとんどを民間委託することによって崩壊した社会、それが現在のアメリカである。オバマに一縷の望みをかけるしかないではないか。



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