June 03, 2012
コラム本【結論はまた来週】(著者 高橋 秀実):愛してると毎日言うことでホントに愛するようになことがインテリジェンスである。

著者:高橋 秀実
角川書店(角川グループパブリッシング)(2011-09-27)
もう高橋さんの視点大好き!これは移動中に読んでふむふむ考えて楽しむ本。言ってることに同意したり、反証したり、心の中で作者と雑談する本。
必読だね。
下記、面白かった箇所の抜粋&勝手な要約。
・ 江戸時代の国語学者 本居宜長が歌詠み初心者にアドバイス「情は自然なればもとむるものなし、ただ詞(ことば)をもとむ」哀しみは自然の感情だから、それを追い求めてはいけない。ただ言葉を求めよう。そうすれば感情がついてくる。だから、まず「面白い!」といってみたら面白くなる、ということ。
・ 「古事記」にある世界のはじまり。「名も無く為(しわざ)も無ければ、誰か其の形を知らむ」名前がないんだからわかるわけない。名前がいなものは存在しないと同じだよ。
・ 「ヘマな奴ほど名を残す」(ピーノ・アプリーレ)人類が存続しているはエラーのせいらしい。受精は何億匹の成功精子の成功ではなく、卵子の膜のーにある一ヶ所の不完全な場所に入り込んで受精するらしい。複写エラーがDNAを進化させる。
・ 子どもへの「才能」と「心の闇」は大人が都合よく生み出した双子なのではないか。
*もしかしたら、そのどちらも人には持ち合わせていないのかもしれないのに...
・ 「私には才能がない」と自分で捨てることができる人が非凡で、どちらかというとこちらの方が神の童のようである。
・ 「霊がツイてる」と「運がツイてる」は同義語で、ツキは人間の都合でいかようにも使えるものではないか。
・ 「ラストサムライ」の武士道は勘違い。本来の武士道とは、戦のない江戸時代に虚無感に襲われた武士たちに教えたもの。聖典「葉隠」にも「死を覚悟して精進し、長生きせよ」とある。
*心構えの話であって、戦中の特攻精神を加味してどうする!
・ 奥さんが毎日「愛してる?」と聞いてくるらしい。要領よく「愛してる」と答えようものなら「どこを愛してる?」と聞いてくる。「どこって場所?」と尋ねると「愛してない」と怒られる。愛してる場所を返答すると外見ばっかりと攻められる。そのうち、「全部愛してる」と答えるようになると、次には「今日はいつ愛してると思った?」と聞いてきた!ひれ伏してこそ人生である。
・ 知らないと損するは嘘。違うスーパーで安い野菜があると聞いたから損したと思うだけで、知らなければそう思わない。知ってしまうと損した気分になる。知らないことは恥ではなく、むしろ徳だと思う。
・ 「上から目線」が大事。上からみるということは、そのことについて熟知しているからこそ、相手をほめたり評価したりできる。下から褒めることなどできない。大切なのは自分を含めて状況全体を上から客観的に把握することだろう。
・ 自分の言葉で話すのではない。文法があるからみんな一緒。でも声はみな違う。昨今の携帯メールやツイッターには肝心の声がない。だから、ネットは無理に個性をだそうと罵詈雑言で溢れるのかもしれない。
・ この世にそれ自体が楽しいことなど存在しない。あるのはどう味わうかということだけだ。人生は味わうためにある。だからつまらないことも味わうべし。
・ 人生相談の解決に回答は必要ない。つまるところ「言い方」でしかないし、本人に言うしかない。問題の解決と相談はまったく別物で相談自体に意味があるのかもしれない。
・ 占いとは、必然の法則を知ることではなく、この純然たる偶然を味わうためにある。
・ 悪口の作法。「戦国の作法」(藤木久志)によれば、身分を名乗りルールに従った舌戦であったらしい。武器による戦い「所作」(しわざ)に対して「言技」(ことわざ)と呼ばれた。弁論術で相手をやっつける。最強の武器は「言葉」だった。
・ 茶道の世界に「無事の美」という言葉がある。文字通り「何事も無い」ということ。あえて凝らずに使う人が自然と使いやすさを追及したものが「美」に到達する。
以上。本当に脳のあちこちに火をつけられたようで楽しい本だった。
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