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November 27, 2011

コラム本『この惑星こそが楽園なのだ』(著者 宮内 勝典):ヒトに残された2200万年を楽しもうよ!

IMG_0011この惑星こそが楽園なのだ
著者:宮内 勝典
講談社(1991-07)











ニューヨーク在住だった作家宮内勝典さんのコラム。1990年に[TOKYO TIMES]に連載していた「ニューヨーク日記」というコラムの単行本化である。

残念ながら、絶版なので古本で入手。東京にいようが、ニューヨークにいようが、宇宙と町と人のトライアングルを絶妙な距離感で活写してみせるコラムは、久しぶりに読み終わりたくないと思わせる本であった。

◆特に、地球、太陽系、銀河系にまつわる話が面白い。
「恐竜とヒト」というエピソード。恐竜は劇的に絶滅したのではなく、ゆっくりじわりじわりと滅んでいったらしい。シカゴ大学のセプコスキーとラプウは、過去の化石を綿密に調べ上げた。生物の絶滅には一定の周期があることが分かった。約2億2千年前のペルム紀末には、海の生物の90%が絶滅している。

その後、2600万年ごとに、大量絶滅は9回も起こっている。絶滅危惧種を保護している人には申し訳ないが、それほどの定期性というのは、おそらく地球の問題ではないと推測される。おそらく、太陽系、銀河系に原因があるらしい。

地球は太陽を中心にまわっているが、大きな視点で考えれば、太陽系も一定の周期で宇宙を周回している。一定の周期(2600万年)で星間塵の雲を突っ切るらしい。その時に太陽系自身が大きく上下にぶれるらしい。

その時の環境破壊によって、ウィルスを媒介として遺伝子の移動が起こるという。私たち生き物は、次の種へ進化するための準備を染色体の中に持っている。そこで進化のスイッチがはいると、いままでの種が絶滅する、というわけだ。

ヒトの起源を約400万年前のアウストラロピテクスと考えると、あと2200万年残っている。これくらいは、余裕で残っているけれども、昨今"草食系"などと呼ばれる男性の染色体あたりは、確実に絶滅に向かっているのではないかと思う。

◆ヒトの視点で考えると衛星放送やインターネットで世界中の街が均一化されてきた。地球上で特殊な場所というのが存在しずらくなってきたのだ。ヒトは知的好奇心をかきたてるもの、心をわくわくさせるものがどうしても必要である。だが、それは現代においてはどこにも存在しないという。あるとすれば、それは私たち自身の脳の中にあるのだ。それぞれの脳の中で起こりつつあること、思考、創造性、それこそが一番エキサイティングなことなのだ。

◆高度に発展した文明を築いたマヤ文明。ゼロと二十進法を発見し、現代天文学に比べ0.0002日の誤差しかないような知性をもっていた。しかし、一方で奇妙な宇宙観ももっていた。日没後消えていく太陽を再び地上に戻すために、生贄を捧げ太陽のエネルギー補給に充てなければならないと考えた。あまりにも、時間という観念に取りつかれ、ついには、それを神にしてしまった文明。

しかし、現代人はそれを笑うことができるのだろうか?この惑星の生き物すべてを何回も絶滅できる【核】を抱え込んで、にっちもさっちもいかなくなっている私たちの狂気に比べてみたらいい。どっちがどっちを笑うべきなのか...。

tabloid_007 at 19:41│Comments(0) Book 

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