May 07, 2011
「水木しげる 妖怪大画報」:1960-70年代に描かれた『週刊少年マガジン』の巻頭口絵の世界
水木しげる 妖怪大画報
著者:水木 しげる
講談社(2008-05-17)
水木しげる大先生が、「週刊少年マガジン」の巻頭グラビアで描いた1970年前後の稀少な仕事をまとめた本である。もちろん、当時の内田勝編集長と大伴昌司の企画である。「世界はこうしてはじまった!!天地創造」(1966.9)とか「人魚の秘島」(1969.9)とか、いまでもワクワクするようなイラスト満載である。
さて、当時から半世紀が過ぎ、2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震が起こった。この未曾有の出来事に対して、ニューヨークタイムズ(日曜版)が水木先生に挿絵の依頼をした。日本では入手困難だが、下記のようなイラストが掲載された。
この"手"が絶望的だとして話題になったが、その後いろいろな人にこの絵を見せてどう思うか訊ねて回った。すると不思議なことにこの絵は見る人によって実に様々な感情を想起させることが分かったのだ。
よく見ると波の大きさに対して、"手"が異様に大きいことから、妖精ではないかとか、人がこの"手"を引っ張り上げられるかが試されるとか、さまざまだった。
きっと神様がテストしているのだと思う。
そして、もう一枚。私が企画した【SAVE MIND, 100 CREATION】にも描いて頂いた。
「生きなさい」っていうメッセージ。シンプル。力強い。
その翌週の「週刊文春」で先生のコメントが掲載されていた。
「生きていれば どうにでもなる。(中略) 自分だけが生き残ったとしても悲観せずに生きるんです。死んだらいかんですよ。」
なるほど、だから「生きなさい」なんだ。
tabloid_007 at 18:49│Comments(0)│
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