December 05, 2010
「日本的想像力の未来~クール・ジャパノロジーの可能性」(編 東浩紀): 『カワイイ』の歴史考察が興味深い。
日本的想像力の未来~クール・ジャパノロジーの可能性 (NHKブックス)
日本放送出版協会(2010-08-26)
2010年3月に東京工業大学世界文明センターの主催で行われた国際シンポジウムをまとめたのが本書。
登壇したのは、キース・ヴィンセント、クッキ・チュー、黒沢清、河野至恩、シュテフィ・リヒター、ジョナサン・エイブル、ヘザー・ボーウェン=ストライク、宮台真司、村上隆、毛利嘉孝
ただし、第1日目に参加した大塚英史が本への収録を拒否したということで掲載されていない。
さて、クールジャパンに繋がる系譜をあらゆる立場や見識で語られているが、宮台真司さんの「『かわいい』の本質」の歴史感覚が面白かった。『かわいい』がマスメディアで大量に溢れたのが、高度成長期と時期を一にする1963年ということらしい。1962年に「少女クラブ」(講談社)が「少女フレンド」となり、1963年に「少女ブック」(集英社)が「週刊マーガッレト」にリニューアルされたのが契機という。リニューアル後に、「ちゃぶ台」が「テーブル」に、「ふすま」が「ドア」に、「畳」が「フローリング」に変わったのだ。
しかし、この段階では『かわいい』は、「誰にでも好かれる子ども」を指していた。その流れは、1970年の天地真理というアイドル第一号によって継承される。「アイドル」は、「スター」のような憧れではなく、「みんなに好かれる=かわいい」存在なのである。その後、1974年「GORO」(小学館)が創刊されると、「僕だけが知っているかわいい」に変容。
本来、大人の性と隔離されたところで少女の「かわいい」が生まれたのに、1980年には性が関係性から記号に変わっていったため、「援助交際」「ブルセラ販売」などのようなことまで、「かわいい」を媒介にして自己正当化されていったのだ。
日本放送出版協会(2010-08-26)
2010年3月に東京工業大学世界文明センターの主催で行われた国際シンポジウムをまとめたのが本書。
登壇したのは、キース・ヴィンセント、クッキ・チュー、黒沢清、河野至恩、シュテフィ・リヒター、ジョナサン・エイブル、ヘザー・ボーウェン=ストライク、宮台真司、村上隆、毛利嘉孝
ただし、第1日目に参加した大塚英史が本への収録を拒否したということで掲載されていない。
さて、クールジャパンに繋がる系譜をあらゆる立場や見識で語られているが、宮台真司さんの「『かわいい』の本質」の歴史感覚が面白かった。『かわいい』がマスメディアで大量に溢れたのが、高度成長期と時期を一にする1963年ということらしい。1962年に「少女クラブ」(講談社)が「少女フレンド」となり、1963年に「少女ブック」(集英社)が「週刊マーガッレト」にリニューアルされたのが契機という。リニューアル後に、「ちゃぶ台」が「テーブル」に、「ふすま」が「ドア」に、「畳」が「フローリング」に変わったのだ。
しかし、この段階では『かわいい』は、「誰にでも好かれる子ども」を指していた。その流れは、1970年の天地真理というアイドル第一号によって継承される。「アイドル」は、「スター」のような憧れではなく、「みんなに好かれる=かわいい」存在なのである。その後、1974年「GORO」(小学館)が創刊されると、「僕だけが知っているかわいい」に変容。
本来、大人の性と隔離されたところで少女の「かわいい」が生まれたのに、1980年には性が関係性から記号に変わっていったため、「援助交際」「ブルセラ販売」などのようなことまで、「かわいい」を媒介にして自己正当化されていったのだ。
tabloid_007 at 18:28│Comments(0)│
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