October 12, 2010
映画『ハンティング・パーティ -CIAの陰謀-』:人の利益の最大化が国家ならば、個人の気持ちの持ちようが戦争という想念を生みだすといえる。
ハンティング・パーティ -CIAの陰謀- [DVD]
出演:リチャード・ギア
販売元:エイベックス・マーケティング
発売日:2008-10-24
本作は、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の戦争犯罪人を追うアメリカ人ジャーナリストを描いた映画。
2000年10月に出版された雑誌「エスクァイア」にスコット・アンダーソンが書いた実録記事 "What I Did on My Summer Vacation"(僕が夏休みにしたこと)゛が原案。映画は脚色はあるもののサラエヴォで再会したスコット・アンダーソンとセバスチャン・ユンガー (Sebastian Junger) とジョン・フォークの三人のジャーナリストが、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷から指名手配中の戦争犯罪人ラドヴァン・カラジッチを捕まえようとする話。
映画の中では、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争のうちセルビア人が行った虐殺・非人道的行為のみが描かれている。セルビア人が被害者となった虐殺・非人道的行為は台詞のなかで少し触れられるだけである。
映画のストーリとエンディングでは、カラジッチが逮捕されないことに関して、米国などがカラジッチを逮捕しない密約を結んでいることを示唆していた。カラジッチは後の2008年7月に逮捕されたが、その際カラジッチは、「自身の安全を保障した密約を米国側が破った、CIAによって守られていた」等の発言をしている。米国側は、こうしたカラジッチの主張を否定している。
戦争には、いまでも代理戦争的な大国の利益思考が存在するということだ。国益という概念が国境を作り、戦争を生む。人の利益の最大化が国家という存在なのだろうか。そう考えると、個人と社会とはかけ離れたものであるはずがなく、個人の気持ちの持ちようが戦争という想念を生みだすともいえる。