May 08, 2009
安部公房 作品を読み続けた30年間
安部公房全集〈30〉1924.03‐1993.01
著者:安部 公房
販売元:新潮社
発売日:2009-03
ワタシの文学体験の中で最も重要で最も深い影響をもたらした作家 安部公房は1993年1月22日に亡くなった。それから3年半後の1997年7月10日に新潮社は、完全編年体による「安部公房全集〈1〉1942.12‐1948.5」を発刊した。大変な英断である。ワタシは、中学1年生(1978年)より安部公房の作品をすべて通読し、入手困難な書籍は国会図書館で半分ずつコピーし、雑誌や演劇関係のものは、梅田かっぱ横丁を丹念に調べて手に入れたものだ。ただ、大阪に居て残念だったのは、堤清二率いるセゾングループが後援する舞台を観にいくことが出来なかった。だから、18歳(1983年)で東京に来たときは、まっさきに渋谷のルノアールの下にあったジャンジャン劇場の奥にある安部公房スタジオの稽古場を見に行ったものだ。
全集発刊から12年...2009年3月7日初版で全30冊の刊行が終わった。一人娘の安倍ねり さんによる「安倍公房伝記」には作品では垣間見れない父としての安部公房が浮かび上がってくる。ねりさんが子どもの時分、自室に通じる廊下に父が何万冊ものSFを中心とした本を並べ、読むことを期待したらしい。中でも石川啄木の本を何度もねりさんの目に付くように配置を変えて置いたのだか、結局読むことはなかったらしい。
考えたら、ワタシも13歳から43歳まで30年間かかって安部公房のすべての文章に目を通したことになる。しかし残念ながら、ワタシの記憶から30年前の読書体験は既に消失しているので、また再び最初から読まなければならない。そのことを考えるだけで、望外の喜びが沸き起こってくる。
tabloid_007 at 23:39│Comments(0)│
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