March 07, 2009
若返って、原子にもどる。
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット 出演) [DVD]
本作は、第81回アカデミー賞3賞を受賞した。老人で生まれたブラッド・ピット扮するベンジャミンが歳と共に若返る作品といっしまえばそれだけの作品である。しかし、この原作が「華麗なるギャツビー」「ラスト・タイクーン」(いまや、この名作のVHSは絶版になり、DVDは発売さえされていない!しかも脚本は、ハロルド・ピンターなのだ!) などで有名なロストゼネレーションを代表するF・スコット・フィッツジェラルドとなれば見方も変わってくるのである。
原作は、フィッツジェラルドが一番ノッていた1922年に描かれた短編である。当時、フィッツジェラルドは妻であるゼルダ・セイヤーが浪費するニューヨークでの社交費を賄うことに精一杯だった。それゆえ、スグにお金になる短編を書きまくっていたのである。そういう背景を考えるとベンジャミンの人生は奇妙な一生どころか、フィッツジェラルドの願望の現われではなかったのかとさえ考えてしまう。歳をとればとるほど、若返る...。
この何とも痛々しい不可逆的な願望の実現。これこそが創作の自由と苦悩を表現している作品ともいえる。
tabloid_007 at 14:44│Comments(0)│
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