内なる辺境 (中公文庫)
安部公房の論文3本がはいっている。いずれも昭和43年「中央公論」に書かれたものだ。異端から普遍へ、という通り一遍の理屈ではなく、異端も普遍を目指した瞬間から異端でなくなる、ということをユダヤ人の歴史から紐解いている。流行を追う者は、その微妙な異端性とどこかで世間に受け入れられるだろうという一般性の間で成立するものだ。だから、異端であり続けることでしか、結果的には普遍性を持ち得ないと断じている。