January 22, 2012
「イラストのこと、キャラクターデザインのこと。」(著者 坂崎 千春):SUICAペンギン、カクカクシカジカ 創作の秘密を公開!
イラストのこと、キャラクターデザインのこと。著者:坂崎 千春
ビー・エヌ・エヌ新社(2011-01-25)
坂崎千春さんが作ったキャラクターは、誰でも知ってる。SUICAペンギン、クウネルくん、カクカクシカジカなど、知ってるでしょ?
でも、それらのキャラクターを坂崎さんが創作したのは知らないでしょ?
そんな方は是非 本書を読んでほしい。実に自然体でプロ仕事をする方法が綿密にドキュメントされている。キャラクター造形の設計思想はもちろんのこと、キャンペーンごとに進化する表情。
特に“線”に対するこだわりは たいへんなものだ。ゆらゆら揺れてる線。シャープな線。どれもキャラクターの性格を表すのに大事な判断が必要とされるのである。
もちろん、どのキャラクターも一流クライアントの理解(と説得)の上に成立しているわけで、勝手に作った訳ではない。だからこそ、難しさとあるのだ。注文と創造のはざまで、坂崎さんは軽々と作業しているようにみえる。
しかし、そこはプロ。というポイントを本書で知って脱帽...。クリエイター目指す人は絶対必読!

「ニッポンの風景をつくりなおせ」 梅原 真は、空気をデザインする。
ニッポンの風景をつくりなおせ―一次産業×デザイン=風景著者:梅原 真
羽鳥書店(2010-07-09)
グラフィックデザイナー梅原真さんの本。最近、クリエイターの本ばかり読んでいる。仕事に関連しているということもあるが、四半世紀以上 娯楽産業で暮らしているので、どうしても形ある“モノ”より、“サービス”や“アイデア”で人の暮らしにかかわるということに関心がいく。
梅原さんの代表的な仕事のひとつに「84」(はちよん)プロジェクトというのがある。高知県の製造品出荷額47番目。森林の割合が土地に対して84%ある、と。つまり平地が16%しかないから、製造業が成り立たない。さて、この逆境をどうデザインするのか?梅ちゃんの出番である。
さっそく、84%を個性としてスタートさせたのが「84」プロジェクト。予算2.4万円からの開始。トイレットペーパーサイズの丸太に梅ちゃんデザインの「CO2のカンヅメ」と銘打った商品を制作。以降、高知県産の木を使用した賛同企業や商品に「84」のロゴを使用すると、プロジェクト体に1%の使用料を支払う。この仕組みで高知の森林はブランドになった!凄い話じゃないか!
新聞紙で作った強固なエコバック「四万十川の新聞バック」を販売したり、村おこし全盛時代に美術館を立てずに、砂浜にTシャツをひらひらさせる「砂浜美術館」など、膨大な宣伝予算がなくとも、人がいる。モノづくりがある。それらをクリエイティビティがまとめあげる。この“デザイン力”がグッとくる。考えたことを実行できるのは、デザインの力が関係者に未来を見せるからだ!
本書は、クリエイティブ関連の人だけじゃなくて、ありとあらゆる魅力ある、思い入れのある商品を世に伝えたいと思っている人 必読の書である。
もう、これ読まないと話にならないよ。
ぜひ、ご一読を!
月刊「B-maga」(2012年1月号):福田淳 連載コラム「距離感ゼロの恐怖」
月刊B-maga 2012年1月号
サテマガ・ビー・アイ(2012-01-10)
今月の私のコラム「考えるメディア」(No.116)は『距離感ゼロの恐怖』ということで、ソーシャルメディアが流行れば流行るほど、人と人の距離感がなくなってくるのではないか?
最初は良かったのかもしれないが、Facebookなど慣れてくると知らない人からの申請は別として、知ったばかりビジネスマンや大昔の恋人まで繋がらなくてはならなくなる!
日本人の得意とする“間”の文化はどこにいったのか?詫び、寂びの中に“間”を見つめ想像を楽しむ。そういう余地がなくなってきているという話。
ぜひ、ご一読くださいませ。
映画【恋のスラムダンク】(主演 クイーン・ラティファ):彼氏/彼女からプランB扱いされるのはナゼ?
恋のスラムダンク [DVD]
出演:クイーン・ラティファ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン(2011-04-22)
スポーツ選手専門の理学療法士レスリー・ライト(ラティファ)の幼なじみのモーガンは美人でセレブをおとすことに血道をあげている。
モーガンは、ひょんなことから知り合ったNBAプレイヤーのスコット・マクナイトに迫り口説き落とすが、その直後の試合で選手生命が危ぶまれるほどの膝の怪我を負う。その瞬間 振ってしまう。
レスリーは、いつも男とデートしては「友だちでいよう」と振られてばかり。NBAファンのレスリーは、絶望したスコットの回復トレーニングを担当することになる。
そして、無事奇跡のカムバックを果たすのだが、そこへずうずうしいモーガンが復縁を迫ってくる。トレーニング中にレスリーはスコットとベットを共にした。しかし、スコットはあっさりモーガンと復縁してしまう。
さて、スコットの人間性が問われる場面だ。
美女で嘘つきと、美女じゃないけど気は良い人。どっちを選ぶ?
でも、それはスコットが選べる立場ってみるのが間違っているのかもしれない。女性はみんな自分が“プランB”だなんて思われたくない。お互いにとって“プランA”でいるための資質をみつけないことには、美人も気が良いも関係ないのではないか。つまり、自分もたいしてプランAじゃないんじゃないか?と疑ったうえで相手とのマッチングを考えるべきなんだろうな。だから、この映画をみていると、スコットが純粋そうにみえて、実はバカじゃないのか?と思ってしまう。
そういう鍛錬の話です。
January 15, 2012
「ミッション: インポッシブル/ゴースト・プロトコル」トム・クルーズと歩んだ自分史!
ミッション:インポッシブル4 [DVD]監督:ブラッド・バード
出演:トム・クルーズ、ポーラ・パットン
配給:パラマウント・ピクチャーズ
シリーズ4作目。
もう、この映画は好きとか嫌いとかそういうものじゃない。いかに話題になっているときに見たか見てないかっていう代物である。
と同時に、トム・クルーズの“凄さ”に驚くことも忘れてはならない。
考えてみれば、トム・クルーズは、今年50歳ですよ!私より3つ上。最初は「トップガン」(1986年)の時に有名になった。私21歳。大学生3年生。猫も杓子もMA1っていうジャンパー着て、トムの真似してた。外側がミリタリーグリーンで中がオレンジ。陸パイロット風情だった。
そして、続いて同年に「ハスラー 2 」が公開。大学のある江古田には、古くからあるビリーヤード場が2件あり(エーコーっていったかな?)、プロのハスラーになれる気がしたものだ。で、やはりトムの真似して玉が落ちた時、キューを刀のように振るわけだが、それで照明割って弁償したことある(苦笑)。
まだまだトム熱は続くのだが、バブル経済初年度の1988年!!満を持して「カクテル」が上映される。この時は、社会人一年生。ちなみに、こんな場面があった。→ ココ
もう、ほぼ全員がバーテンダーへの転職を考えたんだよ!笑 せめて、カクテルの構成要素は暗記しないとモテないとブルータスみたいな雑誌に煽られた。でも、まったく覚えられずメロンフィズっていうのを男子が飲むと馬鹿にされるっていう地政学だけ学んだ。
私も社会にでで仕事が忙しくなると、同時にトムもアラサーとなりシリアスな映画に進出するようになる。だから、我々も真似する年代じゃなくなるし、暇もなかった。で、それから10年近くたって登場したのが「ミッション:インポッシブル」(1996年)。
既にトムは大スターになっており、私も30歳を超えた…。そして、スパイになることなんかできないという現実を知ることになる。だが、トムは何にでもなれたのだ。だから、こうして15年経ってもまだ体を張ってスパイ役をやっていられる。そういう自分の人生と照らし合わせて、今回の映画もしみじみ楽しませてもらった。明日から頑張ろう!っていう気になる一品。
January 09, 2012
ボリス・ヴィアンの本「うたかたの日々」を読もう!…読んだら人が恋しくなる。
ボリス・ヴィアン(Boris Vian, 1920年3月10日 - 1959年6月23日)
フランスの作家、 詩人
吉祥寺の古本屋で雑誌「WAVE」(ボリス・ヴィアンのサンジェルマン・デ・プレ)1993年3月号と「ユリイカ」2000年3月号を購入した。
わたしの幼少期の読書体験の中で、安倍公房、ガルシア・マルケスと並んで熱中して読んだ小説はボリス・ヴィアンのものである。
独創的な小説「北京の秋」(砂漠に鉄道を敷く話)、「うたかたの日々」(恋人の心臓に睡蓮が咲く難病の話)、「帝国の建設者」(なぜか高層ビルの上に行くたびにひとりずついなくなる不条理劇)を書くかたわら、生活のために別名で通俗小説も書いた。
しかし、なかなか認められず小説を捨てシャンソン歌手、詩人として活動。自著「墓に唾をかけろ」が映画化されるが、試写がはじまって10分で39歳で亡くなってしまう。本人はこの映画化が気に入らなくて仕方なかった。
そんなヴィアンの小説や音楽がブームになったのは死後である60年代。遅れてきたカフカのような存在なのである。


あの強烈な読書体験から30年近くなり、こうして体系的に彼の人生を俯瞰できるのは素晴らしいことだ。
ヴィアンがSF画家をやっていたことも初めて知った。

『アルフレッド・ミュッセからボリス・ヴィアンまでの作家絵画展』
プレイヤード・ギャラリー
1946年12月2日
そして、極めつけは2番目の夫人ユルシュラ・キュブレール(バレリーナ)へのインタビューである。(たぶん彼女はこの時点で70歳前後)出版社のパーティで出会った二人は1954年に結婚した。

愛があるインタビュー。以下、抜粋。
− 彼は浮気しませんでしたか?
UK 「さあ、それは分かりません。それに、そんなことは別に大騒ぎすることでもないでしょう。彼は美しい女性が大好きでしたから。(中略)それは彼の人生で私の人生ではないですから。もうろん、私たちは愛し合っていたし、お互いにやきもちをやきました。でもそれを理由にしたことはありません。アバンチュールのどこがいけないのでしょう。私だってハンサムな男の子が好きですよ!ただ、私たちはお互いを信頼していたので、関係が壊れることはなかった。」
− 再婚のお考えはなかったのでしょうか?
UK 「彼のような男と一緒に暮らした後で?そんなこと不可能ですよ。他にも立派な人はたくさんいるんでしょうけど。」
− でも、ボリス・ヴィアンと暮らしたのは、わずか9年だけでしょう?
UK 「今年で39年目になります。彼はいつもそばにいます…」
January 08, 2012
建築家 石上純也の本「建築のあたらしい大きさ」 :空や風や山や雲や雨や森などの要素を含めたデザイン
石上純也 建築のあたらしい大きさ著者:石上純也
青幻舎(2010-12-27)
おととし2010年9月に資生堂ギヤラリーで、石上純也 「建築はどこまで小さく、あるいは、どこまで大きくひろがっていくのだろうか」展をみてからファンになった。
石上さんの発想は、建築の発想でも町づくりの発想でもない。空や風や山や雲や雨や森などの要素を含めたデザインなのである。
建築が建物として自立しているのではなく、町のあたらしい風景として成立するのか?そういう視点でデザインされるのだ。だから、雲の再現や森の再現を通じて、建物の素材や使い勝手がどんどん変化していく。その過程そのものが人類の歴史の過程でなくてはならず、創ることで ひとつひとつの建造物が未来への答えになっている。
Richard Prince 【American Prayer】BIBLIOTHEQUE NATIONALE DE FRANCE
Richard Prince: American Prayer著者:Robert Rubin
Rizzoli(2011-09-13)
大好きなアーティスト リチャード・プリンスが、昨年2011年に、パリのBIBLIOTHEQUE NATIONALE DE FRANCE(フランス国立図書館)でにて初の大規模な展覧会「AMERICAN PRAYER」を行った。
そのために刊行された辞書みたいな本。
内容は、プリンス作品を紹介するのではなく、彼の作品制作のインスピレーションの原点である個人的な足跡に焦点を当てている。厖大なプライベート・コレクション(ほとんどが初公開)である50年代から80年代のアメリカのポップカルチャー、音楽(ジミ・ヘンドリックスやボブ・ディラン、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)、ビート文学(ジャック・ケルアックとウイリアム・バロウズ)、そしてフランスのパルプフィクション、ビデオ、ポルノグラフィーの稀少本やそのオリジナルのアートとナース・ペインティング、そして最新作まで。
プリンスのエネルギーを全部ぶち込んでる!
最新のキャンバスにインクジェットプリントをしてドットのスプレイを施したポルノ的アートも面白い。


これって昨年、流行ったグラビア水着画像を「裸に見せる画像ジェネレーター」と似てて興味深い。
コミック『旅する缶コーヒー』 (著者マキ ヒロチ):“CMのドラマ化”ならぬ“コミックのCM化”
旅する缶コーヒー (マンサンコミックス)著者:マキ ヒロチ
実業之日本社(2011-07-29)
最近は、トヨタのCMのように“CMのドラマ化”が流行っている。中には宇宙人ジョーンズのようにシリーズ化しているものもある。
今回紹介する作品は、逆にコミックのCM化なのである。企業タイアップでもないのに、缶コーヒーをモチーフにしたさまざまなドラマをオムニバス読み切り短編にしている。
失恋や仕事の失敗や出会い...その節目節目に“一服”があるわけだ。その“間”を缶コーヒーというブレイクで表現する。その小道具の使い方にセンスをみる。なかなか面白い試み。
コミック「地球恋愛」(著者ヤマザキ マリ):中高年のもつヌケ、オチ、ミゾが魅力!
地球恋愛(1) (KCデラックス)著者:ヤマザキ マリ
講談社(2011-08-11)
「テルマエ・ロマエ」ヤマザキマリさんのオムニバス短編集。
中高年になって経験豊富になっても人間関係、特に男女の関係というのはそう簡単にこなせるものではない。
その微妙なヌケ、オチ、ミゾを突いてくる。しかし、その隙間こそが人間そのものがもっている間合いであり、魅力なのだと思える。深刻ぶらないところに微妙な年輪を感じる作品だった。


